国基研は平成21年2月10日、東京・永田町の星陵会館で公開の月例研究会を開き、米アラスカ大学の赤祖父俊一(あかそふ・しゅんいち)名誉教授に地球温暖化問題について講演していただきました。会員ら約200人が会場の講堂を埋め、1時間の講演の後、1時間の活発な質疑応答が行われました。講演の内容は以下の通りです(赤祖父教授が当日配布したレジメは下記よりご覧いただけます。)
会場風景
講演をされる赤祖父俊一アラスカ大学名誉教授
赤祖父教授の講演詳報
ノーベル平和賞を取ったIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は地球温暖化について、大部分が人間の産業活動によって排出されたCO2のせいと言っているが、話はそう簡単でない。21世紀に入ってCO2は増えているのに、気温は上昇していない。
CO2排出は1946年から急速に増え始めたが、気温上昇は1800年ごろから始まっている。これは、1400年から1800年ごろまで地球全体が寒冷化した「小氷河期」から回復する過程にあるためと考えられる。氷河の後退は1800年ごろから起きており、CO2が増えてから起きたのではない。
小氷河期からの回復とは別に、50~60年を周期とする気温の「準周期変動」もある。20世紀では1910年から1940年ごろまでが上昇期、1940年から1975年ごろまでが下降期、1975年から2000年ごろまでが上昇期だった。
20世紀末の気温上昇は、小氷河期からの回復と準周期変動という二つの自然変動が重なったためと考えることもできる。IPCCが自然変動を考慮に入れず、気温上昇をCO2のせいにしたのは間違いだ。現に、IPCCの予想に反して、21世紀に入って気温上昇は止まった。
CO2の地球温暖化への影響は研究が始まったばかりだ。わたしは、地球温暖化はCO2のせいでないと主張しているのではなく、CO2のせいでないとしても説明できると言っている。
地球温暖化の研究は若い学問で分からないことが多いのに、IPCCはそれを国際的な政策の場に持ち込んだ。CO2削減に膨大なカネを使っても、地球温暖化防止に役立たなかったということになりかねない。
CO2の排出量取引は、開発途上国が先進国からカネを取る口実にしているとしか思えない。日本は外国の建前上の主張を本心と誤解しているのではないか。CO2の議論は化かし合いのようなものであり、日本は(CO2削減で)欧米の言いなりになるのではなく、自らの主張を出してよい。