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2011.01.11 (火) 印刷する

【詳報】 月例研究会 「北方領土・踏みにじられる主権ー今こそ国家意志を示せ」

国家基本問題研究所は、メドベージェフ・ロシア大統領の国後島訪問を受けて平成22年11月26日、東京・永田町の全国町村会館で月例研究会「北方領土・踏みにじられる主権―今こそ国家意志を示せ」を開催しました。櫻井よしこ理事長の司会の下で、ロシア研究者の木村汎北海道大学名誉教授が基調講演を行い、自民党の「領土に関する特命委員会」委員長代理の新藤義孝衆院議員と、「日本の領土を守るため行動する議員連盟」事務局長の松原仁民主党衆院議員がパネリストを務めました。また、直前に北朝鮮軍による韓国・延坪島砲撃事件が起きたため、西岡力企画委員(東京基督教大学教授)が解説のため急きょ登壇しました。研究会には会員230人、一般24人、議員秘書2人、報道関係者4人、役員8人が参加しました。詳報は以下の通りです。

櫻井 本来ならロシア研究の第一人者の木村先生の基調講演が先ですが、今日はこれから国会の本会議があり、政治家の皆さんは途中で退席しなければならないので、まず新藤さんからお話しを。新藤さんは(第二次世界大戦中の硫黄島の戦いで指揮を執った)栗林忠道中将のお孫さんです。

新藤 私は栗林の次女の息子です。祖父のことは内なる誇りであり、戦陣で国のため家族のために頑張った思いは受け継がないといけないと思っています。

北方領土問題は最悪の状況を迎えました。戦後初めてロシア首脳が上陸したのは許せないことですが、その後、横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、菅直人首相はメドベージェフ大統領にどういう抗議をしたのでしょうか。大統領は会談後に自身のツイッターで、領土問題より経済協力を優先するよう日本の首相に告げたと述べ、首相から手厳しく抗議されたとは言っていません。ラブロフ外相は北方領土について、第二次大戦の結果としてロシアが得た領土だとまで言っています。領土交渉の凍結をロシアが目指しているのではないかと危惧しています。

こうなった原因の第一は、民主党政権の甘い現状認識です。直前まで、メドベージェフ大統領の国後島訪問はないとみていました。日本政府は訪問を阻止する行動をほとんど取っていません。訪問直前にはハノイで東南アジア諸国連合(ASEAN)の会議があり、ロシアから大統領と外相、日本から首相と外相が行ったにもかかわらず、接触すらしませんでした。

民主党政権の軽率な発言も今回の事態を招いたと思っています。鳩山由紀夫前首相は就任直後に「できれば半年で領土問題を進展させたい」と言いましたが、具体的提案を何一つしないまま、ロシアにしびれを切らさせてしまいました。

さらには、民主党政権の稚拙な外交運営があります。それは、普天間問題に端を発した日米関係の弱体化です。昨年秋には、中国が東シナ海のガス田で一方的に工事を始めたのに、日本は抗議をしませんでした。同じく昨年秋以降、竹島では、韓国が漁民の宿泊施設を建て替えたり、太陽光発電所を建設したり、30年ぶりにヘリポート改修工事を発注したりして、現状に変更を加えているのに、日本は何一つ抗議していません。そして、尖閣の事件が起き、世界に恥をさらす外交になってしまいました。

一つ一つのことに的確な対応を取らず、気が付いたら中国、韓国、ロシアによる日本包囲網ができつつあります。中国とロシアは第二次大戦末期のソ連による日本への侵略行動を正当化するかのような共同宣言を出しました。ロシアと韓国は北方領土やシベリアの開発で技術協力・資本協力をしようとしています。日本は何もできない、日本に何をやっても許される、という間違ったメッセージが民主党政権から周辺国に発せられてしまったと私は思っています。

北方領土問題が(メドベージェフ大統領の国後島上陸で)悪化したのは、麻生太郎元首相や前原誠司外相がロシアの領土支配を「不法占拠」と呼ぶなど日本側の過激な言動に原因があるというマスコミの論調もありますが、これは決定的に間違っています。不法占拠であることは外務省のホームページに書いてあるし、日本がずっと主張してきたことです。不法占拠であることを基本に交渉しないと、相手に見透かされるだけです。

こういう厳しい状況だからこそ、日本はまず日米関係を立て直し、中国や韓国やロシアに対しては日本の主権と領土を守ることを基本に毅然とした交渉をすべきです。

木村 メドベージェフ大統領の国後島訪問をめぐっては、これはロシアの国内問題であり、2012年のロシア大統領選でライバルとなり得るプーチン首相に対してメドベージェフ大統領が己の立場を有利にしようとするデモンストレーション行為なのだから、日本側はあまり気にする必要はないという意見が多いようです。しかし、この見方は20%ほど当たっているだけで、80%は間違っていると思います。今回の訪問は一過性の出来事ではなく、日本側が大騒ぎして当然の重大問題なのです。

わが国のロシア研究者のほとんどは、メドベージェフとプーチンが戦う2012年の大統領選の前哨戦が既に始まっていると見ています。それは部分的には当たっているが、大きく間違っているのは、プーチンがすべてを決めるわけで、メドベージェフがどのようなデモンストレーションを行っても、ほとんど効果はない。そのことを、メドベージェフはよく知っています。ただ、あと1年半ほど任期があるので、自分がレームダックにならないように目立つ行為をして、部下や一部の支持者を引き付けているにすぎません。

2012年には98%の確率でプーチンが大統領に返り咲く。私はそう予想しています。にもかかわらず、われわれがモスクワへ行くと、ロシアの学者や評論家たちがわれわれに密着し、プーチンからメドベージェフへの政権禅譲説を吹き込む。それに引っかかった日本のロシア研究者たちが、東京に戻ってそのような見通しをオウム返しに説く傾向が顕著です。

これらの研究者は、例えばモスクワ市長が更迭されたことについて、メドベージェフの大手柄だと言います。しかし、後任に任命されたのはプーチン派のセルゲイ・ソビャーニンです。つまり、メドベージェフに市長更迭の汚れ役を押し付けておいて、結局得をしたのはプーチンなのです。2008年夏のグルジア侵攻にしても、形式的に命令したのはメドベージェフですが、背後にいるプーチンの言いなりになっただけで、メドベージェフの「功績」ではありません。メドベージェフの「経済近代化」政策もプーチン路線に沿ったものです。メドベージェフは、例えば以上三つのことをプーチンの許可または暗黙の了解なしにやれたはずがありません。

日本が今回の国後島訪問に猛反発してロシアにマイナスの影響が出たら、プーチンはメドベージェフの独断行為だったとして彼を切り捨てるでしょうし、逆に日本の反発がなければ、プーチンは「メドベージェフを行かせたのは自分だ」と示唆するでしょう。そのどちらに転んでも、プーチンが得をするのです。

プーチンとメドベージェフの間にライバル関係があるという日本の一部ロシア評論家たちの言説に惑わされてはいけません。両指導者は師弟関係にあり、分業関係にあるととらえるのが一番正しい見方です。つまり、プーチンは農民、高齢者、年金生活者、テレビを主な情報源とする社会層、他方メドベージェフは都市生活者、若者、インターネット利用者、知識人という風にそれぞれの支持者が違い、2人はアピールする聴衆が異なる分業関係または共存共栄の関係にあるのです。

メドベージェフが実行している「プーチン主義」の対日外交の特徴は、「ゴルバチョフ主義」と「エリツィン主義」のアンチテーゼです。ロシアの一般大衆は、ゴルバチョフとエリツィンの改革があまりにも急進的でロシアが大混乱に陥ったことを嫌い、秩序や安定の回復を望みました。そのタイミングで登場したのが、プーチンです。

ロシア人は、ゴルバチョフが始めた北方領土の「ビザなし交流」を大失策だったと考えています。「ビザなし交流」が北方領土に関し日ロいずれの領有でもない灰色(グレー)ゾーンであることを前提にしているからです。代わってプーチン=メドベージェフが熱心に唱道している北方領土でのロシアの「共同経済開発案」に乗ったら大変なことになります。裁判権はロシアが握るわけですから、日本はわずかな経済的利益のために大事な主権を売ったと全世界に馬鹿にされることになります。

ロシアでは、エリツィンが「法と正義」の原則を基礎に領土問題を解決すると約束した1993年の「東京宣言」も、大失策だったと言われています。

これら前任者2人の過ちを何とか取り戻そうとしているのが、プーチンです。択捉島での軍事演習、対日戦勝記念日(9月2日)の制定、メドベージェフの国後島訪問といった一連の動きは、ロシアの一貫した戦略に沿って着々と進められているのです。これが私の見方です。

国後島訪問は、ロシアのそうした対日戦略が70%~80%のウエートを占める事件なのです。日本側にとり、まさに由々しき事態であるにもかかわらず、私が知る限り、このようなシンポジウムを開いたのは国基研だけです。

国後島訪問の理由として10%ぐらいのウエートがあったかもしれないのが、2012年の大統領選へ向けメドベージェフがレームダックではないことを強調しようとしたこと、そして残りの20%の原因が、日本側が見せた「隙」だと思います。鳩山前首相が日米同盟に亀裂を生じさせたことで、ロシアのタンデム(双頭)政権はさぞかし絶好の機会が到来したと思ったことでしょう。菅首相が尖閣問題で見せた隙も大きかった。

菅さんが自身の代理として9月に鳩山さんをロシアに送ったことも驚天動地でした。鳩山さんの主張は基本的に言うと4島一括返還でなく「まず2島を返してもらう」という「段階論」です。だが、ロシアにとり「段階論」はあり得ません。ロシアは日本との平和条約締結を世界に喧伝したいわけで、1回限りの平和条約締結を狙っているのですから。1回限りの平和条約で4島返還を達成しなければ、日本にとり取引カードは全くなくなってしまうのです。

松原 領土問題は、一朝事が起こる前に、事が起こることを前提にした準備が必要だと思います。尖閣問題で、中国人船長を釈放したことは目に見える敗北であり、しかも、温家宝中国首相が国連で強硬な演説をした翌日という最悪のタイミングで、国益を損なうものでした。船長を逮捕するなら、本気で日本の領土を守るというメッセージを事前に中国に伝えておくべきでした。尖閣にあるヘリポートの修復でも、ヤギの駆除目的による猟友会の上陸でもよいでしょう。領土を守るためには日常の活動が重要です。

北方領土問題は段階的に考える必要があります。4島には現にロシア人が住み、4島を故郷にするロシア人が存在するのですから、これを解決するにはかなりのインスピレーションを働かせることが必要です。例えば特別永住者のような地位をつくるとか、二重国籍を与えるといったアイデアを出さないといけないでしょう。

北方領土問題でタイミングというものはあると思います。中国に比べて、ロシアが経済的に落ち込んでいる状況は一つのテコになります。4島住民が日本から支援を受けたいと思うタイミングをとらえて、アイデアを出すのがよいと思います。

ただ「返せ」では実際問題としてなかなか進みません。逆に、われわれの時間は限られています。旧島民の高齢化が進んでいます。旧島民の存命中に返還を実現できるかが最大のポイントになります。

田久保忠衛副理事長 (コメントと質問)木村先生の話で印象的だったのは、ロシア研究者がメドベージェフの国後島訪問を国内問題のせいにしているが、それは当たらないという点です。尖閣をめぐる日中間のトラブルでも、「中国政府は国内世論への対応に困っている。反日デモは『反日』を看板に政府批判をしている」というまことしやかな解説が日本の新聞に出ました。菅政権はこれを口実に落とし所を探りました。そういうことに飛び付くべきでないと強く思いました。

ロシアは大戦略に基づいてやっているという話もよく分かります。日本は領土を1ミリも返されず、カネと技術をどれだけ持って行かれたことか。政治家は手柄を立てるために、北方領土をおもちゃにしてきたのではないかという厳しい見方を私は持っています。

木村先生には、領土問題で日本の対ロ政策はどうしてこんなになってしまったのかについて、分析をお願いしたい。

木村 日本が取るべき対策を7点ばかり挙げます。第一は、日本の首相が北方領土と尖閣を訪問すること。どちらを訪問しても中国とロシアの間にくさびを打ち込むことができます。例えば、尖閣訪問を行えば、中国は「メドベージェフが国後訪問という余計なことをしたからとばっちりを受けた」と考え、中ロ関係が具合悪くなるので、実に有効だと思います。

第二は、対米関係を修復すること。鳩山さんは万死に値する大失策を犯しました。日本は軍事力を持たなくても日米同盟で外交力を補ってきました。だからこそ中国やロシアが日本に一目置いているのです。同盟関係をおかしくすれば、外交力は改善しません。

第三は、対中関係で毅然とした態度を取ることです。尖閣問題で中国に甘いところを見せたから、ロシアが付け込んできたのです。

第四は、アジア・太平洋地域でオーストラリア、ニュージーランドなど価値観を同じくする国との友好関係を強化することです。それが回り回って日本の対ロ外交力を強化します。

以上は、外交力に関する対策です。

経済力に関しては、「政経不可分」の原則をもっと徹底すべきです。こういうこと(国後島訪問)があった以上、わが国は対ロ融資を喜んで行うわけにはいきません。日本国民の中には、エネルギーも欲しい、魚も欲しい、島も返してほしいという人がいますが、これはぜいたくです。島を返してほしいなら、何かを犠牲にしなければならない。トレードオフの考え方です。私は家で無駄な電気を消すようにしています。電気をつけていると、回り回ってロシアを助けることになる。

ソフトパワーに関しては、根室や羅臼の地域振興をもっと大々的に行い、北方四島との違いをロシアに見せつけて、日本に近づいた方が得と思わせることです。いわゆるディプロマシー・バイ・エグザンプル(お手本外交)を実施するのです。

最後に、長期戦になる覚悟をすることです。日本の政治家は手柄を立てようと焦りすぎです。中ロをじらせばよいのに、すぐ首脳会談を開いてしまう。今回のAPECでもそうでした。

ロシアの弱みは、領土問題が未解決では日本と平和条約を結べず、したがって日本人の心からの協力を得られず、極東の経済権益をほとんど中国に取られてしまうことです。だから、日本は安易に妥協せず耐えなければいけない。

「二島」とか「三・五島」とか「面積等分」の返還で決して妥協してはなりません。ロシア人の中にも、領土問題を中途半端に解決すると日本側に不満が残り、日ロ関係が「血の通ったもの」(ゴルバチョフ)にならないので、ロシアのために「四島」返還の原則を貫いてほしいと述べる人が少なくありません。持久戦に耐えれば、四島はある日一気に返ってくると思います。

櫻井 解決の見えない問題を抱えながら耐えていくのはよほどの強さが必要だと思います。日本人全員が強くあらねばなりません。

北朝鮮の韓国を砲撃しました。攻撃の矛先がいつ日本に向けられるか分かりません。北朝鮮の意図、韓国の対応、日本の対策は?

西岡 金正日は制裁に悲鳴を上げ、苦し紛れに緊張を高めたと私は考えています。8月に米国が新たな金融制裁をかけると、北朝鮮に動きが出てきた。制裁が効いているのだから、もっと制裁を強めればいいのです。北朝鮮は話し合いを望んでいると解説する学者がいますが、金正日は話し合いなど信じていません。力しか信じていません。現状が不快だから動いたのです。

金大中元韓国大統領の北朝鮮に対する「太陽政策」は、実は「春風政策」でした。太陽政策なら、暑い太陽の光で不快だからコートを脱ぐはずですが、金大中のように先に援助だけ送る春風政策では、心地よくて何も変わりません。

過去、北朝鮮が譲歩したことはあります。核問題では1994年に原子炉の建設を止めました。拉致問題では2002年にごく一部ですが拉致を認めて日本人被害者5人を返しました。なぜかと言うと、強い圧力がかかったからです。94年のときは日本政府が朝鮮総連から北朝鮮への送金を止めました。02年のときはテロとの戦いで米国の軍事的圧力がありました。

05年には米国が金融制裁で金正日の海外個人資産を押さえにかかり、日本は「厳格な法執行」政策で総連の脱税など違法活動を取り締まりました。これはかなりの効き目がありました。

米国の金融制裁はブッシュ前政権末期に解除されましたが、オバマ政権の下で今年8月に再び発動されました。日本は06年以降の厳しい制裁を継続しています。韓国も北朝鮮軍による哨戒艦撃沈事件を受けて経済制裁を開始しました。金正日の個人資金はいよいよ余裕がなくなってきました。

櫻井さんは日本が攻撃されるかもしれないと言いましたが、攻撃されません。北朝鮮の方が全く弱いのです。独裁者金正日を直接攻撃して北朝鮮軍の指揮系統をマヒさせることはいつでもできるが、こちらは民主主義国家だから自制しているだけです。日本に向けてミサイルを撃てば、米国は集団的自衛権を発動して金正日を攻撃する国際法上の権利があることは、金正日も分かっています。

日本には北朝鮮の工作員が数百人ぐらい潜伏していて、重火器も多分持ち込まれているという情報を日本の警察幹部は以前から話していますが、24時間監視態勢を敷いているそうです。これら工作員が動くのは、金正日が殺されそうになる直前か、戦争でソウルを取れると思った時だけです。日本は主な標的ではありません。北朝鮮の目標は韓国を赤化併呑することであり、邪魔な在日米軍基地を1週間でも10日でも機能不全にするために工作員を入れているのです。テロを恐れてはいけません。テロとは、徹底的に弱い相手が自由民主主義国の民心を動揺させるために卑怯な暴力を使うことです。それに打ち勝つ方法は、恐れないことです。相手は弱いのです。相手の弱みは外貨が入ってこないことです。朝鮮総連からの送金も、韓国からの援助も、麻薬資金も今は入ってきません。中国は北朝鮮にモノは出しているが現金は出していません。

北朝鮮が攻撃してきたら、2倍、3倍にして報復したらいいのです。今回、李明博政権は北朝鮮の砲撃基地を報復攻撃しなかったことで国内保守派から批判されましたが、こちら側は絶対的に強いのです。北朝鮮が攻撃してきたら反撃できるし、攻撃を命じた人間を除去することもできるのです。最高責任者の命をこちら側が握っているということでしか抑止力は働かないのです。

問題は緊張に耐えられるかどうかです。向こうが緊張を高めて、制裁を解除してくれと言ってきたら制裁を強めればよいのです。緊張に耐える勇気さえあれば、力関係はこちらが上です。北朝鮮がもっと緊張を高めてくるなら、向こうはそれだけ苦しいということです。北朝鮮はまた核実験をするでしょうが、その分、プルトニウムは減るのです。怖くありません。

櫻井 日本はこれ以上どういう制裁をかけることができますか。

西岡 北朝鮮への送金は、今は申告限度額を下げただけですが、これを全面禁止にすることができます。また、今は朝鮮総連の幹部6人にだけ日本への再入国許可を与えないことにしていますが、北朝鮮を渡航先として出国する人間にはすべて再入国を許可しないこともできます。日本国民についても、昔のように旅券を北朝鮮にだけ無効とし、北朝鮮へ行く場合には外務省に別途申請するという仕組みにして、公然と北朝鮮へ行けないようにしたらよいのです。

木村 (会場からの質問に対し)メドベージェフは歯舞、色丹にも行くかもしれないという話があります。誤解を恐れずに言うと、行ってほしいくらいです。行けば、現在のロシアは1956年の「日ソ共同宣言」も守らない無法国家ということになるからで、全世界はあきれ果て、国後島上陸の「プラス」(?)も一気に帳消しとなるでしょう。行くかもしれないと言うのは、明らかにブラフです。

ロシアは日本を必要としています。ロシアは経済近代化と中国の台頭の脅威に対応するため、日本との友好関係をのどから手が出るほど欲しています。ところが。領土問題があるためにやせ我慢をして、ポーズを取っているだけで、中国よりはるかに日本を重要視しています。ロシアのそういう腹を読んで、日本は長いスパンで対ロ政策を構築すべきです。(了)

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