月例研究会/平成31年2月28日/東京・内幸町 イイノホール
東電福島第一原発の事故以来、核をめぐる時計は止まったままだ。原発の再稼動はむずかしい状態にあり、高速炉「もんじゅ」は廃炉となった。だからといって、闇雲に原発を稼動させよと国基研は主張しているわけではない。このままでは、世界に誇る原子力技術も技術者も消えてしまうといっているのだ。
今回の研究会で、萩生田自民党幹事長代行は、「福島の事故を忘れてはいけないが、怯えて立ち止まるのもいけない」と発言したが、この言葉を噛み締めてみる必要がありそうだ。
櫻井 まず登壇者をお迎えいたします。政治家の中で私がいちばん信頼していると言っていい方です。自民党幹事長代行、おなじみの萩生田光一さんです。そして、去年、原子力の分野で、国際社会で最も優秀なる教授という賞をお受けになりました奈良林直さんです。桂川正巳さんは、初めての登壇者です。東大の工学部原子力工学科を卒業され、原子燃料公社(のちに動力炉・核燃料開発事業団、現・日本原子力研究機構)に就職なさって、高速増殖炉「もんじゅ」の燃料開発をなさった方です。現在は、東京東信用金庫で、いろいろな特殊技術を持っている中堅企業、中小企業の技術指導と、その方たちを助けるプロジェクトのリーダーをしていらっしゃいます。今日はこのお三方で難しい問題である原子力のことを驚くほど分かりやすくお話し申しあげようと思います。まず、萩生田さんからお願いいたします。
萩生田 私は、エネルギー政策に詳しいわけではありません。ただ、官邸で仕事もしてきましたし、現在、党の幹部ですから、国の基本的な政策の方針、また懸念をしている中身については承知をしているつもりです。専門的な話ではなく、これからの日本のエネルギーをどうするかということで、先生方と議論を交わしていきたいと思います。
先ほど、米朝首脳会談は合意文書に署名をせずに別れたと報道がありました。北朝鮮の非核化を目指すとすれば、何か前進があったほうが、いいに決まっています。しかし、トランプ大統領が安易な妥協をしなくてよかったというのが正直な感想です。韓半島において、核をなくしていく努力は必要だと思いますが、特にICBM(大陸間弾道ミサイル)を廃止すれば、短距離ミサイルは残してもいいと、握手されてしまえば、日本の脅威はまったくなくならないわけです。この話し合いが進まなかったことで、拉致問題に話題が及んだのかどうか、懸念はあります・・・
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平成31年(2019年)2月28日