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国基研 講演会

2020.04.21 (火) 印刷する

【詳報】 特別座談会「新型コロナウイルスの災厄」

特別座談会/令和2年2月27日/国基研会議室

kaijyou

新型コロナウイルスの災厄

2月27日に予定された国基研の月例研究会(東京・内幸町イイノホール)は、武漢発の新型コロナウイルス禍によって中止のやむなきにいたりました。「最後の最後まで参加を予定してくださった会員のみなさまにこのままでは申しわけない」という櫻井理事長の提案で、当日の登壇予定者に急遽国基研会議室に集まっていただき、特別座談会を開催いたしました。大相撲やプロ野球にも似たいわば“無観客試合”でしたが、議論は白熱、災厄の深刻な今後をうかがうに十分でした。(なお、議論のなかに出てくるデータ等は、2月27日時点のものであることをご了承ください。)

登壇者略歴

櫻井 よしこ(さくらい よしこ)
ハワイ大学卒業(アジア史専攻)。クリスチャン・サイエンス・モニター紙東京支局員、日本テレビのニュースキャスターなどを経て、フリージャーナリスト。平成19年に国家基本問題研究所を設立し、理事長に就任。大宅壮一ノンフィクション賞、菊池寛賞、フジサンケイグループの正論大賞を受賞。「21世紀の日本と憲法」有識者懇談会(通称、民間憲法臨調)の代表を務めている。著書は『愛国者たちへ 論戦2018-2019』『問答無用』『韓国壊乱 文在寅政権に何が起きているのか』『朝日リスク 暴走する報道権力が民主主義を壊す』『チベット 自由への闘い』『一刀両断』『日本の未来』『日本の勝機―米中間の変化に果敢に向き合え』など多数。

田久保 忠衛(たくぼ ただえ)
昭和8(1933)年生まれ。早稲田大学法学部卒。時事通信社でワシントン支局長、外信部長、編集局次長などを歴任。杏林大学社会科学部教授(国際関係論、国際政治学)、社会科学部長、大学院国際協力研究科長などを経て、現在名誉教授。法学博士。国家基本問題研究所副理事長。正論大賞、文藝春秋読者賞を受賞。産経新聞社の「国民の憲法」起草委員会委員長を務めた。著書は『戦略家ニクソン』『米中、二超大国時代の日本の生き筋』『憲法改正、最後のチャンスを逃すな』など多数。

矢板 明夫(やいた あきお)
昭和47(1972)年中国天津市生まれ。15歳の時に残留孤児2世として日本に引き揚げ。千葉県出身。1997年慶応義塾大学文学部卒業。同年、松下政経塾に入塾(第18期)、アジア外交が研究テーマ。その後、中国社会科学院日本研究所特別研究員、南開大学非常勤講師も経験。2002年中国社会科学院大学院博士課程修了後、産経新聞社に入社。さいたま総局記者などを経て07年春から16年冬まで特派員として北京に駐在。現在、産経新聞外信部次長。著書は『習近平 なぜ暴走するのか』『戦わずして中国に勝つ方法』など。

百地 章(ももち あきら)
昭和21(1946)年静岡県生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。愛媛大学法文学部教授、日本大学法学部教授、国士舘大学大学院客員教授を経て、日本大学名誉教授、国士舘大学特任教授。法学博士。産経新聞「国民の憲法」起草委員を務めた。正論大賞受賞。現在、比較憲法学会理事長、憲法学会理事、宗教法学会理事、「民間憲法臨調」事務局長。著書に『憲法の常識 常識の憲法』『憲法と日本の再生』『靖国と憲法』『政教分離とは何か』『憲法と政教分離』『憲法と日本の再生』『これだけは知っておきたい「憲法9条と自衛隊明記」Q&A ―神学論争に今こそ終止符を!―』など多数。

湯浅 博(ゆあさ ひろし)
昭和23(1948)年東京生まれ。中央大学法学部卒業、産経新聞社入社後に、政治部、経済部。この間、大蔵省、外務省を担当。プリンストン大学公共政策大学院MCP修了。ワシントン支局長、シンガポール支局長を経て、論説委員、産経新聞特別記者を歴任。現在、国家基本問題研究所主任研究員。産経新聞に「世界読解」などコラム執筆中。著書は、『中国が支配する世界 パクス・シニカへの未来年表』『全体主義と闘った男 河合栄治郎』『覇権国家の正体』『歴史に消えた参謀 吉田茂の軍事顧問 辰巳栄一』『アジアが日本を見捨てる日』『アメリカに未来はあるか』など多数。

櫻井よしこ 新型コロナウイルスを、私はあえて「武漢ウイルス」と呼びます。その理由は、「今、SARSが、どこで起きたか知っていますか」と聞くと、ほとんどの人がどこだったか答えられません。あれは広東からです。忘れられているんですね。MERSは、中東middle eastのMが入っているから、ある程度わかります。そして、例えば、日本でも水俣病など地名のついた病があります。

ところが、なぜか中国になると、WHOも遠慮して、なんだかわけのわからない、コビッド(COVID)19、つまり2019年のコロナウイルスと言っています。私はこれはやはり武漢ウイルスと、あえて地名を入れて論じたいと思います。

この武漢ウイルスについては、まだ正体がよくわからないという面があります。海鮮市場から出たという報告もありますが、いやそうではなくて、市場から280メートル離れた細菌研究所のようなところから出たという説もきちんとした論文の形で出されています。これは、後々もっと真実が明らかになってくるだろうと思いますが、いずれにしても、中国共産党政府の責任が非常に大きい。それによって防げたはずのライン、時期を越えてしまい、どうやら世界中に広がってしまった。そして、アメリカのCDC(疾病管理予防センター)によると、アメリカもパンデミックを避けられない、それは時間の問題であり、世界全体がパンデミックに襲われるという予測を立てるところまできました。

このようなことを引き起こした習近平国家主席の下の中国共産党の体制とは、いったいどういうものなのか。隣国であるわが国は、アメリカとは違う対応をしてきました。北朝鮮ともロシアとも違う対応をしてきました。しかし、武漢ウイルスへのわが国のあり方はこのままでよいのでしょうか。日本国は、これまでもこれからも未来永劫、隣国中国とつきあっていかなければならないわけです。共産党体制下の習政権ということを考えるとき、いったいどのようなことを覚悟すればよいのか。本日はこの深刻なテーマを、討議したいと思います・・・

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活動報告

国基研特別座談会『新型コロナウイルスの災厄-習近平体制の限界と日本の覚悟』

令和2年2月27日