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2019.04.05 (金) 印刷する

【詳報】 月例研究会 「ついに原発の技術を失う日本―「日立問題」に学ぶ」

月例研究会/平成31年2月28日/東京・内幸町 イイノホール

 
2019.02.28
 

東電福島第一原発の事故以来、核をめぐる時計は止まったままだ。原発の再稼動はむずかしい状態にあり、高速炉「もんじゅ」は廃炉となった。だからといって、闇雲に原発を稼動させよと国基研は主張しているわけではない。このままでは、世界に誇る原子力技術も技術者も消えてしまうといっているのだ。
今回の研究会で、萩生田自民党幹事長代行は、「福島の事故を忘れてはいけないが、怯えて立ち止まるのもいけない」と発言したが、この言葉を噛み締めてみる必要がありそうだ。

【登壇者略歴】

萩生田光一
昭和38(1963)年生まれ。明治大学商学部卒業。大学在学中より議員秘書として政治の世界に入る。平成3年、27才最年少で八王子市議会議員に初当選。その後、東京都議会議員を経て、平成15年、衆議院議員に初当選。自民党青年局長、文部科学部会科学技術選任部会長、党副幹事長を経て、平成20年文部科学大臣政務官就任。その後も自民党筆頭副幹事長、総裁特別補佐、選対事務局長、党筆頭副幹事長を歴任。国会にあっては予算委員会理事、文部科学委員会理事、第三次安倍内閣にて内閣官房副長官を務める。平成29年8月に自由民主党幹事長代行に就任し、同年10月の衆議院選挙で5期目の当選を果たす。現在、党幹事長代行。

奈良林直
昭和27(1952)年東京都生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科原子核工学修士課程修了。東芝に入社し、原子力技術研究所主査、電力・産業システム技術開発センター主幹など歴任。北海道大学大学院工学研究科助教授、同大学院工学研究院教授を経て、同大学名誉教授。現在、東京工業大学特任教授。工学博士。
内閣府原子力安全委員会専門委員、原子力安全保安院安全性総合評価意見聴取会委員、原子力規制委員会福島第一原子力発電所における事故の分析に係る検討チームなど歴任。現在および次世代の原子力発電所の安全技術に関する第一人者。

桂川正巳
昭和16年生まれ。東京大学工学部原子力工学科卒業。
動力炉・核燃焼開発事業団(動燃)に入社。東海事業所プルトニウム燃料開発室に勤務。その後、ワシントン事務所長、国際部長を歴任、現在、東京東信用金庫中小企業応援センターコーディネーターを務める。
そして「産官学金連携プロジェクト」として深海無人探査機を開発する「江戸っ子1号」プロジェクトにかかわる。同探査機は2013年、日本海溝(水深7800m)の潜行実験に成功するなどの成果を残し、内閣府第12回産学官連携功労者表彰内閣総理大臣賞を受賞した。

櫻井よしこ
ハワイ大学卒業(アジア史専攻)。クリスチャン・サイエンス・モニター紙東京支局員、日本テレビのニュースキャスターなどを経て、フリージャーナリスト。平成19年に国家基本問題研究所を設立し、理事長に就任。大宅壮一ノンフィクション賞、菊池寛賞、フジサンケイグループの正論大賞を受賞。「21世紀の日本と憲法」有識者懇談会(通称、民間憲法臨調)の代表を務めている。著書は『問答無用』『韓国壊乱 文在寅政権に何が起きているのか』『朝日リスク 暴走する報道権力が民主主義を壊す』『チベット 自由への闘い』『頼るな、備えよ――論戦2017』『一刀両断』『日本の未来』『日本の勝機―米中間の変化に果敢に向き合え』など多数。

 

櫻井 まず登壇者をお迎えいたします。政治家の中で私がいちばん信頼していると言っていい方です。自民党幹事長代行、おなじみの萩生田光一さんです。そして、去年、原子力の分野で、国際社会で最も優秀なる教授という賞をお受けになりました奈良林直さんです。桂川正巳さんは、初めての登壇者です。東大の工学部原子力工学科を卒業され、原子燃料公社(のちに動力炉・核燃料開発事業団、現・日本原子力研究機構)に就職なさって、高速増殖炉「もんじゅ」の燃料開発をなさった方です。現在は、東京東信用金庫で、いろいろな特殊技術を持っている中堅企業、中小企業の技術指導と、その方たちを助けるプロジェクトのリーダーをしていらっしゃいます。今日はこのお三方で難しい問題である原子力のことを驚くほど分かりやすくお話し申しあげようと思います。まず、萩生田さんからお願いいたします。

萩生田 私は、エネルギー政策に詳しいわけではありません。ただ、官邸で仕事もしてきましたし、現在、党の幹部ですから、国の基本的な政策の方針、また懸念をしている中身については承知をしているつもりです。専門的な話ではなく、これからの日本のエネルギーをどうするかということで、先生方と議論を交わしていきたいと思います。

先ほど、米朝首脳会談は合意文書に署名をせずに別れたと報道がありました。北朝鮮の非核化を目指すとすれば、何か前進があったほうが、いいに決まっています。しかし、トランプ大統領が安易な妥協をしなくてよかったというのが正直な感想です。韓半島において、核をなくしていく努力は必要だと思いますが、特にICBM(大陸間弾道ミサイル)を廃止すれば、短距離ミサイルは残してもいいと、握手されてしまえば、日本の脅威はまったくなくならないわけです。この話し合いが進まなかったことで、拉致問題に話題が及んだのかどうか、懸念はあります・・・

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ついに原発の技術を失う日本―「日立問題」に学ぶ

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