月例研究会/2016年2月3日/イイノホール
今や、エネルギー問題は地球規模で考える時代です。
国際社会では、原発リスクより環境保護、地球温暖化を優先したエネルギー政策が主流になりつつあります。日本も「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」(日本国憲法 前文)のなら、この流れを理解し、対応していく必要があるでしょう。
今世紀後半には、温室効果ガスの実質排出量をゼロにするというパリ協定が合意された中、日本はどんなエネルギーミックスによって対処していくべきか。問題は医療などの研究用に使う小さな原子炉にさえ「待った」をかける原子力規制委員会のあり方です。
今回の月例研究会では、マスコミが報じない規制委員会の凄すぎる実態が明らかに!
櫻井 今日は、日本国の土台を構成する重要な要素である原子力について考えていきたいと思います。
原子力はエネルギー政策の基本であり、同時に新しい産業の基本でもあります。昨年十二月、COP21(国連気候変動枠組条約第二十一回締約国会議)でパリ協定が採択されました。これはCO2の排出量を今世紀後半に実質ゼロにするよう世界各国に求めるという内容になっています。日本は二〇三〇年までに、二〇一三年を基準として二六%減らすという目標を掲げています。ただ、目標は掲げましたが、長期目標の具体策はまだ示されていません。
いろいろと節電をしたり、新しい再生エネルギーを開発したり、あるいは化石燃料を減らしたりするために何をすべきか。私たちは再生エネルギーの最先端を走ると同時に、原子力を今後どのように活用していくかということも考えなければなりません。
それと同時に、原子力は医療にも使えます。原子炉から取り出した中性子を使って、私たちのいちばんの死因であるガンの有効な治療法にもなり得ます。そうした新しい研究分野をさらに開発していかなければなりません。
今日はこの二つの大きな分野について、それぞれ、ご専門の方からのお話を伺いたいと思います。まず、国会議員の下村先生にお話をいただければと思います。
下村 今、パリ協定の話がありました。まず、ここから触れる必要があると思います。
日本は三〇年度の温室効果ガス排出量を対一三年度比で、二六%削減するという目標を掲げました。この目標は、大変高い目標です。そのために、政府はこの二六%を前提として、三〇年度のエネルギーをどうまかなうのかという将来像、エネルギーミックスをすでに描いています・・・
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原子力規制委員会に問う-観念的安全論を排せ
平成28(2016)年2月3日