【意見広告】 責任者は首相ひとりではありません
一般財団法人 国家基本問題研究所
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内閣不信任決議案が否決されても、日本再生の最大の妨げが、菅直人内閣そのものであることには変わりありません。不信任決議を回避したい一念で首相が弄した卑怯な言辞は、政治への国民の信頼を、根こそぎ失わしめるものでした。日本の危機は、不信任案の否決によって却って深まったと考えます。
三月十一日から三カ月が過ぎたにもかかわらず、大震災の克服に必要な、我が国の持てるすべての力の結集が出来ないのは、首相に最高指導者としての大局的判断が欠落しているからです。
避難後の災害関連死は既に五百三十人以上に上り、被災者の生活再建のめどは立っていません。
原発事故は終息に程遠く、菅内閣の拙劣な情報開示は国際社会における日本の信頼をかつてないほど失墜させました。復興を支える経済の回復もおぼつかない状態です。
外交においても敗北を積み重ねつつあります。北方領土にはロシア首脳だけでなく、韓国政府の便宜供与を受けた韓国の国会議員が往来し、尖閣諸島周辺では以前にも増して中国の示威行動が頻発しています。
竹島近海では韓国政府が新たな「総合海洋科学基地」建設予算を計上しました。
我が国領土領海と主権を侵す一連の脅威に菅内閣は何か手を打ったのでしょうか。
「トモダチ作戦」で強化されたかに見える日米同盟は、普天間飛行場移転問題の絶望的展望で再び陰りを見せる危険があります。
被災者の不幸をよそに、菅首相ひとりに責任を負わせようとする現状は許されません。「大連立」に名を借りた政治的責任回避は論外です。まともな国家としての基盤が崩れ去った戦後の日本の政治が、ここに凝縮されています。
今こそ、志ある政治家が中核的役割を担い、日本国再生の旗を掲げるときです。私たちは祖国への希望をつなぎ続ける強い力になりたいと思います。
6月10日(金)産経新聞 に掲載
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