2024年6月の記事一覧
インドの総選挙と連立政権 近藤正規(国際基督教大学上級准教授)
予想外の辛勝だったモディ首相 6月4日に開票が行われたインドの総選挙(下院選、定数543)は、事前予想に反して与党連合の辛勝に終わった。モディ首相率いるインド人民党(BJP)は2019年の303議席から240議席へと大きく減らした。与党連合(国民民主同盟=NDA)が過半数の293議席を確保して政権を維持したものの、国民会議派を中心とする野党連合(インド国家開発包括同盟=INDIA)が234議...
国は戦死者の発生に備えよ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
4月に来日したアキリーノ米インド太平洋軍司令官(海軍大将=当時)は、2027年までに中国軍は台湾に侵攻できる能力を完成させる計画だとの認識を示した。バーンズ米中央情報局(CIA)長官も昨年、「中国の習近平国家主席が人民解放軍に対し、2027年までに台湾侵攻準備を整えるよう指示を出した」との認識を示している。 台湾有事により日本で存立危機事態や武力攻撃事態が認定され、自衛隊に防衛出動が命じられ...
なぜ北は韓国にゴミを送るのか 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授)
韓国政府は、北朝鮮が風船でゴミを繰り返し送り付け、全地球測位システム(GPS)利用を妨害するなど有害行為をしていることに対して、「北朝鮮が耐え難い措置を取る」として6月9日午後、対北拡声器放送を6年ぶりに再開した。対する北朝鮮は同日夜にまたゴミ風船を飛ばすとともに、10日朝、「強力な対応を取る」と金与正副部長談話で脅した。 韓国内の左派は、北朝鮮が拡声器の銃撃など軍事挑発を仕掛ける可能性があ...
河野氏は閣僚を辞任せよ 有元隆志(月刊「正論」発行人)
河野太郎規制改革担当相は自らの肝煎りで設置した再生可能エネルギーの規制緩和を議論する内閣府のタスクフォース(TF)が廃止に追い込まれた責任を取って、閣僚を辞任すべきだ。 再エネTFの関係資料に中国の国営電力会社のロゴマークが入っていた問題で、内閣府は6月3日に公表した調査結果(報告)で、中国の影響力行使を否定する一方で、再エネTFは本来の権限を越えた運用が行われてきたと指摘した。これを受け、...
日米台比越豪の連携で中国に立ち向かえ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
英国際戦略研究所(IISS)主催のアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で6月1日、オースチン米国防長官は、中国が南シナ海でフィリピンに対して行っているハラスメント(嫌がらせ)を危険と非難する演説をした。 海上で中国の嫌がらせを受けているのはフィリピンだけではない。ベトナムは南シナ海の沿岸海域で中国の非合法漁業活動や、2000年に合意したトンキン湾中間線をベトナム側に押し出す動きに苛立ってい...