ジャーナリストの富坂聰・国家基本問題研究所企画委員は3月28日、同研究所で開かれた中国問題研究会で、最近訪れたばかりの中国の情勢について報告、外交官、研究者、専門家など日本側関係者が中国の党、政府、研究所などの対日関係者に会うのが非常に難しくなっており、“情報枯渇”状態に陥っていることを明らかにした。
今月上旬に行われた全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)などの取材は、これまでなら会場周辺でも可能なことがあったが、中国側は今や日本側と会うのを自粛しているのではないかとさえ思える、と富坂企画委員は述べた。同企画委員はさらに日本にいる中国人専門家も発言を控えており、日本の中国専門家の発言は今後、憶測が多くなるだろう、と述べた。ただ、アメリカに対しては、日本のような”情報シャットアウト“は行われていない、という。
このほか、富坂企画委員が中国報告の中で指摘したのは以下の諸点である。
1) 北京の月給10万円(日本円換算)の運転手や同7万円の事務所女子職員がアパートを四つも所有したりしている。地価が跳ね上がり、沿海部都市在住の人々の資産が急増している。
2) 習近平主席と李克強首相との対立はない。習首席と違い、李首相は文革の下放などを経験していない。北京大法学部を次席で卒業した頭のいい人物である。
3) 習近平の弱みは、国内にたまる怒りであり、強まる対内恐怖症が腐敗撲滅運動となっている。