公益財団法人 国家基本問題研究所
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最近の活動

2025.08.12 (火) 印刷する

中国軍事動向月報 2025年7月

1 全 般
7月は、野外訓練の報道が多く確認された。多数の部隊が長距離機動訓練や、海上訓練を行った。また、野外訓練の増加に伴い、訓練時の後方支援要領の改善の報道も確認された。

台湾周辺においても軍用機の活動ソーティー数が本年最大であり、活発化している。また、東沙海域では本年に入り月1回海警船1隻による制限水域進入が定例化されていたが、7月は3回、その内2回は海警船2隻による活動が確認された。7月9-18日まで、台湾では漢光演習が実施されており、この間の東沙における台湾側の戦備態勢を確認するために活動回数・隻数を増加させた可能性もあるが、漢光演習を契機にエスカレーションラダーを上げた可能性も否定でず、来月以降の活動状況が注目される。

日本周辺では、台湾漢光演習に関連した可能性のある無人機の飛行が多く確認された。また、東シナ海上の公海上空において、警戒監視を行っていた航空自衛隊のYS-11EB情報収集機に対し、中国軍のJH-7戦闘爆撃機が接近する飛行を行い、この際、特異な接近を行った。

南シナ海においては、中国海軍による戦備警戒パトロール、中国海警による法執行パトロール等により、引き続きフィリピン(以下、比)への威圧を継続した。また、中比双方がお互いに危険行為を喧伝し、非難しあうという構図も継続している。

軍事交流においては、中越間で初の陸軍による共同訓練が実施された。過去に国境地帯で軍事的衝突をし、現在も南シナ海領有権を争っている両国であるが、中国は米との関係を深める比をASEANで孤立化させることを狙っており、越との関係強化を図り、初の陸軍共同訓練に至った可能性がある。