2023年2月の記事一覧
日経新聞の核融合報道に異議あり 奈良林直(東京工業大学特任教授)
日本経済新聞が2月22日夜の電子版「イブニングスクープ」で「核融合、特許競争力で中国首位、未来のエネルギーに布石」との記事を配信し、まるで日本が核融合の分野で大幅に遅れを取っているかのように報じていた。核融合の過去10年間の特許出願を点数化して、1位が中国だと主張している。23日付朝刊にも1面トップで掲載されたこの記事に関して、核融合に詳しい研究者の間で、強い批判のメールが駆け巡った 核融合...
ウクライナ侵略に加担する中国の欺瞞 湯浅博(国基研企画委員兼研究員)
ロシアによるウクライナ侵略戦争開始から1年を迎え、世界は新たな地政学的な展開を始めた。ユーラシアのど真ん中で展開する熱戦は、侵略者のロシアとこれを迎え撃つウクライナとの攻防である。しかし、同時進行しているのは、民主主義秩序に挑戦する中国と、これに対処する米国によるグレートゲームだ。仕掛けたのは、見込みのない「和平構想」を掲げつつ、ロシアへの武器売却を検討する中国である。 偽装和平案を提示 ...
気球の軍事利用を警戒せよ 織田邦男(麗澤大学特別教授、元空将)
2月5日、米空軍は、領空に侵入して米本土を横断した中国の気球をサウスカロライナ州沖の大西洋上で撃墜した。最新鋭のF22戦闘機を出動させ、最新鋭の空対空ミサイルAIM9Xを使用した。 米政府は中国の偵察気球が領空を侵犯し、主権を侵害したと主張し、中国側は民間の気象観測気球が天候の影響を受けて予想外に米国領空に入ったと反論する。現在、米国が残骸の回収、分析作業を行っており、真相究明が待たれる。 ...
戦車供与はウクライナ反撃の切り札になるか 岩田清文(元陸上幕僚長)
ロシアのウクライナ侵略開始から間もなく1年。ドイツ、米国はじめ北大西洋条約機構(NATO)各国は、それまで慎重であったウクライナ向け戦車供与にかじを切った。ウクライナのオメリチェンコ駐仏大使は、これまでに321両が約束されたと述べている(仏テレビ局、1月27日)。ゼレンスキー大統領は「300~500両の戦車が必要だ」と述べており(英テレビ局、同日)、今後も追加される可能性がある。 昨年9月以...
海保法25条に「何の穴もない」は本当か 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
先月末、沖縄県石垣市の調査船が尖閣諸島の環境調査を行った。海上保安庁の巡視船は中国の海警船を近寄らせなかったようであるが、次回もうまくいくとは限らない。 先月17日のBSフジのプライムニュースで、衆議院議員の新藤義孝氏は前海上保安庁長官の奥島高弘氏、東海大学海洋学部教授の山田吉彦氏との対談で、「海上保安庁は非軍機能を規定した海上保安庁法25条の下でも尖閣をしっかり守っており、何の穴もない」と...