2023年11月の記事一覧
自衛隊ポジティブリスト法体系の弊害 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
11月19日、イエメンの親イラン民兵組織「フーシ派」は紅海で日本郵船が運行する自動車運搬船を拿捕した。また25日には、アラビア海でマルタ船籍の貨物船がイラン製無人機による自爆攻撃を受けたとの報道もあった。イスラエル・ハマス戦争が継続する限り、こうした事案が将来とも生起する可能性がある。アデン湾に海賊対処のために海上自衛隊は護衛艦や哨戒機を派遣しているが、2011年をピークとして海賊件数が減少してい...
対中情報戦と主権防衛で後れを取る日本 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
11月18日にオーストラリアのマールズ副首相兼国防相は、日本の排他的経済水域(EEZ)内で潜水作業をしていた豪海軍フリゲート艦に中国駆逐艦が14日にアクティブソナー(音波探知機)を作動させ、潜水員の耳を負傷させる危険な行為をしたと公表した。 これより先、フィリピン政府は9月26日、フィリピン漁船の漁を妨害するため中国の海警や海上民兵によって設置された障害物を沿岸警備隊が撤去したとして、その画...
海底インフラの防護担当に防衛省も 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
11月11日の産経新聞は、先月バルト海で起きた天然ガスパイプラインと通信ケーブルの破壊に「中国船が関与か」「意図的の疑いも」と報じた。本年2月に台湾と離島の馬祖列島間を結ぶ通信用の海底ケーブルが切断されたことは10月10日の「ろんだん」で「誰が海底ケーブルを防護するのか」と題して記述したが、我が国の徳之島でも、今年1月に海底ケーブルが断線したことによりインターネット接続、電子決済ができなくなるとい...
台湾軍と自衛隊の直接交流を 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
岸田文雄首相は11月3日、フィリピンのマルコス大統領との首脳会談に臨み、4日にはフィリピン議会で演説して「自由と法の支配を守り抜く」との決意を示した。5日にはマレーシアでアンワル首相と首脳会談を行い、自衛隊とマレーシア軍、海上保安機関間の共同訓練など海洋分野の協力強化で一致したと報じられている。日本から台湾、フィリピン、マレーシアに連なる第一列島線の防御を強化するための外交と評価される。また10日...