2024年10月の記事一覧
BRICS活用に失敗したプーチン氏 湯浅博(国基研企画委員兼研究員)
ロシアのプーチン大統領は、同国カザンで10月下旬に開いた主要新興国によるBRICS首脳会議で、ウクライナ侵略に対する免罪符の獲得に失敗した。プーチン氏は加盟国を5カ国から9カ国に拡大した「BRICSプラス」の初開催をテコに、欧米によるロシア孤立政策の「失敗」を印象付け、制裁解除の足掛かりにしようと目論んだ。しかし、「制限なし」の協力を侵攻直前に誓ったはずの中国から、逆に侵略戦争を終わらせるよう求め...
中国軍の台湾封鎖演習が持つ意味 中川真紀(国基研研究員)
中国人民解放軍東部戦区は10月14日、陸海空ロケット軍等による統合演習「聯合利剣‐2024B」(以下、「B」)を実施した。5月の「聯合利剣‐2024A」(以下、「A」)に続く台湾周辺における大規模統合演習である。 今回の演習も「A」と同様、台湾に対する海上封鎖が主要テーマであったが、展開戦力の質と量を増強させ、台湾及びそれを支援する米国等への政治的メッセージを含んだものでもあった。 短...
日朝連絡事務所は選択肢として排除すべきでない 荒木和博(特定失踪者問題調査会代表)
9月30日の「今週の直言」に有元隆志企画委員の寄稿した「石破自民党新総裁は『過去』から脱却を」で、「日朝連絡事務所設置構想は撤回せよ」との提言があった。これについては西岡力企画委員もたびたび主張しており、家族会を含めて拉致被害者救出運動の一致した立場だと考えておられる方が少なくないと思う。しかし、家族・支援者含め全てがそう考えているわけではないし、連絡事務所設置を頭から否定するのはいかがなものかと...
「高市氏は靖国参拝を公言して負けた」論に思う 西岡力(麗澤大学特任教授)
「高市早苗氏が首相になれば靖国参拝をするだろうから、中国でまたひどい反日騒ぎが起き、せっかく落ち着いてきた日韓関係がまた悪化する。このような懸念が自民党総裁選の最終盤に党所属国会議員の中に広がったことが、1回目の投票で1位だった高市氏が決選投票で逆転された大きな理由だ」と、政治評論家らが口々に語った。 私はそれを新聞で読んで心の底から悔しかった。私が人生をかけて戦っている歴史認識問題が原因で...
総裁選で変わらぬメディアの対応 石川弘修(国基研企画委員)
9月27日の自民党総裁選挙で、岸田文雄首相に代わる新総裁に石破茂元幹事長が選ばれた。10月1日召集の臨時国会で第102代首相に選出される。1回目の投票でトップだった高市早苗経済安全保障担当相は、上位2人の決選投票で、僅差で敗れた。左派、リベラル色の強い新聞やテレビによる前回3年前の総裁選をも上回る偏向報道にもかかわらず、高市氏が健闘したのは、中国の軍事的脅威や、性的少数者への行き過ぎた配慮など過激...