2026年5月の記事一覧
理念中心から具体的協力へ―日米豪印 近藤正規(国際基督教大学上級准教授)
5月26日、ニューデリーで第11回クアッド(QUAD)外相会議が開催され、インドのS・ジャイシャンカル外相、米国のマルコ・ルビオ国務長官、日本の茂木敏充外相、オーストラリアのペニー・ウォン外相が出席した。 今回の会議の最大の特徴は、従来の「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」という理念中心の枠組みから、具体的な協力の制度化へと大きく舵を切った点にある。海洋安全保障、重要鉱物、港湾インフラ...
米中関係の「戦略的安定」とは何か 冨山泰(国基研企画委員兼研究員)
米中両国は、トランプ大統領と習近平国家主席による今月の北京における首脳会談で、「建設的な戦略的安定関係」(constructive relationship of strategic stability)を築くことで一致した。トランプ政権が1期目に中国を「戦略的競争相手」(strategic competitor)と位置付けていたことから一変した。戦略的競争から戦略的安定へのスローガンの変化が何を...
米海軍の逆封鎖は中国に効いている 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
米中首脳会談の評価として多くの識者やメディアは「中国優勢」と評価している。しかし、それは主として経済・外交面での評価で、軍事的にはホルムズ海峡付近における米海軍の逆封鎖は、エネルギーの多くを中東に頼っている中国に相当効いていると筆者は思料する。 中国人民解放軍はここ数年、台湾に対する海上封鎖の訓練を何回も行っているが、これに対して米海軍が中国のエネルギールートを逆封鎖すれば、それは中国にとっ...
対中政策の方向性欠いた首脳会談 冨山泰(国基研企画委員兼研究員)
トランプ米大統領のインド太平洋政策は、中国との一層の融和へ傾くのか、それとも米国の同盟・パートナー国との連携を強めていくのか。5月14~15日の北京における習近平中国国家主席との首脳会談後、米国の台湾向け武器売却を中国との取引材料に使うことを示唆したトランプ氏の発言は、トランプ外交が日本を含む地域の同盟国にとって好ましくない方向へ向かう可能性を浮き彫りにした。 危うい台湾政策 トランプ...
検察抗告の全面禁止回避は妥当 髙井康行(弁護士、元東京高検刑事部検事)
再審制度の改正、中でも、再審開始決定に対する検察官の抗告を全面的に禁止するべきか否かを巡って自民党内が大荒れだった。最終的には、法務省が検察官の抗告を原則的には禁止しつつ、再審開始決定に重大な事実誤認、法令違反が認められる場合に限って抗告を認める制度を提案し、自民党がこれを了承する方向で落ち着きそうな雰囲気となっている。結果的には落ち着くべきところに落ち着いたということだろう。 再審請求者に...





