西元徹也・元統幕議長(公益社団法人隊友会会長)は9月4日、国家基本問題研究所企画委員会のゲスト・スピーカーとして「安保法制の必要性、過去の実例から」と題して講演した。
西元氏は、安保法制への国民の理解が進んでいない理由として、1)力によって現状を変えようとする中国に如何に対応するのか 2)相対的な影響力低下が懸念されている唯一の同盟国米国のアジア太平洋地域への関与をいかに継続させるか、という見地からの議論が十分でなかった点をあげた。
氏は、武力攻撃に至らない(いわゆるグレーゾーンの)事態への対応の問題として①鹿児島県下甑島(1997年)②能登半島沖不審船(1999年)③潜水艦による我が国領海の潜没航行(2004年)④中国海軍艦艇による火器管制レーダー照射(2013年)などの事例を取り上げた。また、今後起こりうる事態、他の諸国との対応の違いなどについても言及した。
このほか、西元氏は、1)実際に米軍から要請のあった事項への対応 2)国連平和維持活動(PKO)などへの対応 3)憲法9条の下で許容される集団的自衛権行使の問題などについても詳述した。