吉川洋・立正大学経済学部教授は、5月12日(金)、定例の国基研企画委員会にて、「人口減少と日本経済」について、企画委員らと意見を交換した。
吉川教授は、1951年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、イェール大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。ニューヨーク州立大学助教授、東京大学大学院教授などを経て現職。
教授は、まず人口減少が進んでいる現状を概観し、少子高齢化の例として65歳以上の人口の割合が2013年の25.1%から2060年には39.9%にまで上昇、人口そのものは約1億2000万から約8600万に減少するとの資料を紹介。着実に進行する少子高齢化のムードとして日本全体には経済の閉塞感があり、その表れとして格差の拡大をあげる。
その拡大の防波堤となるのが社会保障で、わが国の場合それを支える柱が公費となっている。その負担率は年々増加しており、日本の財政を圧迫する主因となっているとのこと。したがって、国民の税負担率が先進国の中でも低いという状況を他国並みにし、現状の赤字国債で負担する社会保障費を税収で賄う方向にわが国も向かうべきではないかとする。
一方、日本経済全体を俯瞰すると、イノベーションにより成長が期待できる分野が多々あり、その成果如何では実質経済成長率が上昇し、若い世代の生涯所得が上昇することが見込まれる。すなわち、超高齢化という社会問題は、高い購買力をもつ市場が出現する可能性があるということで、日本の企業にとっては絶好の商機になるといっても過言ではないという。したがって大きな可能性を秘める少子高齢化から負のイメージを払拭すべきなのだと述べた。
(文責 国基研)