8月17日、国のエネルギー政策を担う資源エネルギー庁から資源エネルギー政策統括調整官の小澤典明氏ほか1名が来所し、国家基本問題研究所の定例の企画委員会において、先般閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」について説明、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員らと意見交換した。
小澤調整官は、第5次エネルギー基本計画について、長期的に安定した持続的・自立的なエネルギー供給に向け、3E+Sの原則に基づき、安定的で負担が少なく環境に適合したエネルギー需給構造を目指す計画であると説明した。「3E+S」とは、安全優先(Safety)、資源自給率(Energy Security)、環境適合(Environment)、国民負担抑制(Economic Efficiency)のことで、エネルギー政策の基本的視点を表している。
さらに計画の中で、将来設計の目途として、2030年に向けた対応に加え2050年に向けた対応にまで言及しているほか、具体的なエネルギーミックスとしては、震災前の数値と比較し、2030年度へ向けて、再生可能エネルギーを10%→22~24%へ、原子力を25%→20~22%へ、化石燃料を65%→56%へ、増減させることを目指している。
特に、原子力に関しては、現在再稼動中9基、設置変更許可5基、審査中13基で、2030年までにこれらが稼動状態となれば、一定の条件の下、概ね20%に達する計算になるとのこと。また、核燃サイクルは継続、高速炉開発は年末までにロードマップを作成するとし、核燃料のバックエンドの問題も大きな課題であるとの認識を示した。
最後に、企画委員会の時間では収まらないほど多岐にわたる内容のため、今後とも意見交換の機会を設け、相互に知見を共有していくことで一致した。
(文責 国基研)