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2018.09.18 (火) 印刷する

「中国の対外戦略からみた『一帯一路』と日本」 三船恵美・駒澤大学教授

 現代中国の外交を専門にする駒澤大学の三船恵美教授は、9月14日、国家基本問題研究所の企画委員会におけるゲストスピーカーとして、中国の対外戦略、特に「一帯一路」政策の現状と今後の見通しなどについて語り、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員と意見交換した。
 教授はまず、わが国から「一帯一路」を分析する前提として、Panda Hugger(親中派)でもDragon Slayer(嫌中派)でもなく、事実に立脚して分析する必要があるとした。
 その上で、「一帯一路」構想について、中国の政治的手段を駆使した「勢力圏構想」であり、これを単なる「経済圏構想」と捉えることはできないと指摘した。すなわち、パートナーシップによるネットワーク(朋友圏)を形成して、パクスシニカの秩序「人類運命共同体」を構築するのが目的とも。その提携範囲は、ユーラシア大陸、アフリカ大陸が重点エリアとなるが、すべての国を歓迎しており、もはや地理的概念ではない。宇宙やサイバー空間をも対象に「一帯一路」による「宇宙情報回廊」や「デジタルシルクロード」を推進している。
 さて、「一帯一路」により推進するのは「5つのコネクティビティ」(5通)である。①政策面における意思疎通②交通網・通信網の形成③貿易の円滑化④資金の融通と通貨流通の強化推進⑤相互理解の5つを柱にする。まず、①政策面の意思疎通については、「1+N」のガヴァナンス・モデルによって世界政治経済秩序の多極化と国際的地位の強化をはかっている。
 ②交通・通信網の形成という点では、陸路及び海路を整備し物流網を構築し、ロシアのグロナスとも連携する航行測位衛生システム「北斗」が2020年までに全地球をカバーするなど、「中国規格」化のインフラ整備を推進している。⑤の相互理解は、孔子学院を例にとり学術交流などの名目で宣伝活動をし、自国に都合の良い環境を作っているとした。また、「学術交流」によって軍民融合の先端技術が中国に流出している点も指摘した。
 その他、「一帯一路」とともに対外拡張の2大戦略のひとつとして注目するのは国産化戦略を中軸とする軍民融合の「中国製造2025」で、2025年までに世界の製造強国入りを果たすため、中国企業による欧米日の企業とのM&Aを進めている実態を紹介。日本企業は技術ごと買収されるという危機意識を持つべしと警鐘を鳴らした。
 教授の話はアフリカや北極海などにも及び、時間の制約があるのが残念であった。
 三船教授は、早稲田大学第一文学部卒業、米国ボストン大学院修了。学習院大学大学院博士後期課程単位取得退学、政治学博士。現在、駒澤大学法学部教授。著書に『中国外交戦略 その根底にあるもの』『米中露パワーシフトと日本』など。(文責・国基研)

18.09.14