公益財団法人 国家基本問題研究所
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2008.09.16 (火) 印刷する

日本から視た韓国の現状と未来展望

櫻井 よしこ

 
大韓民国が建国六〇周年を迎える。振りかえれば、その六〇年は数々の苦難と試練を果敢に乗り越えてきた歴史である。祖国を愛し、勇気を持って行動した多くの人々の貢献が、この六〇年の記念すべき年月の背景にある。日本にとってかけがえのない隣国である韓国の人々に、私は、建国六〇周年にあたり、心からのお祝いを申し上げる。

韓国の未来が広く開かれ、日本も多くを学んだその文化や伝統がこれからも美しい花を咲かせ続けることを願いながら、私は、建国の瞬間から背負ってきた祖国分断の宿命を、韓国がいつ、いかにして解決できるのかを憂慮せざるを得ない。見通せる将来、韓国はその影の払拭のために、多くの努力を迫られ続けるであろうが、朝鮮半島をめぐる国際情勢を大局的見地から判断したうえでの、真に祖国を愛する人々の信念と努力こそが、韓国の未来を確かなものにすると信じて止まない。

北朝鮮が旧ソ連や中国と手を結び異形の独裁体制に突き進んだのとは対照的に、朴正熙大統領は米国、そして日本との関係を基軸にする民主主義、つまり海洋国家としての路線を選んだ。韓国指導者は、眼前の北朝鮮の軍事的、イデオロギー的脅威との熾烈な闘いに直面しつつ、同時に、自由と民主主義を希求する基本方針の狭間に立たされるという、他に例を見ない離局の運営を担ってきた。日本と基本条約を結んだ朴大統領の下で、内外に緊張を抱えながらも、あの輝かしい「漢江の奇跡」を成し遂げた。

朴大統領は民主主義的価値観を共有する日本や米国とともに、海洋国家としての路線を基本戦略としながらも、単に米国型の民主主義や自由主義の模倣に終わらず、韓国独自の道を探ろうとした。韓国の誇る文明、文化、価値観を重視し、韓国なりの民主主義体制を創り出そうとした偉大な指導者だったと思う。韓国流を貫こうとした大統領の志は、或いは、米国政府の意図するところとは必ずしも一致しなかったかもしれない。しかし、韓国の直面する、北朝鮮工作の韓国内での深く広い浸透振りと脅威の深刻さを、米国政府はどの程度実感していたであろうか。

たとえば、在韓米軍の撤退を一時口にしたカーター政権のように、韓国への不興を募らせる米国にも対処しなければならなかったのが朴大統領だ。時には同盟国との距離の広がりを承知で自国の価値観を貫こうとし、内外の批判に直面しながらも韓国を真の自立国家に育て上げることに心血を注いだ朴大統領の姿は、誇り高くも孤高なる指導者の姿だった。

以降、歴代政権の時代を経て韓国はいま、李明博大統領の時代に入った。私は李氏がソウル市長で、すでに有力な大統領候補と見做されていた三年前、取材したことがある。全般的に発言は慎重だったが、盧武鉉大統領が当時提案していた首都移転については、「統一を前にして首都を南に移転するのは新たな複雑さを南北統一に加えるもので、効率上も賛成できかねる」と明言し、大統領の政策に挑戦した。その後、清渓川の清流を再現し、李氏は韓国大統領となった。

金大中、盧武鉉両大統領の左翼路線を保守路線に引き戻し、政治も社会も安定させると期待されていた李大統領は、しかし、就任後間もなく、急速に支持を失った。直接のきっかけは米国産牛肉の輸入再開だった。

支持率急落の背後に何があるのか。私は純民間のシンクタンク、「国家基本問題研究所」の企画委員らと、暫く振りにソウルを訪れた。そこで目にしたのは、市中心部を違法に占拠するローソクデモだった。彼らはよく組織化されており、潤沢な資金で支えられていると思われた。デモでは、李大統領への激しい非難と「打倒李明博」の叫び声が響いていた。牛肉輸入への反対は政府転覆へと、一気に飛躍していたのだ。

だが、ソウルではもうひとつ、驚くべきことが進行していた。盧前大統領が青瓦台の国家機密のすべてを、コンピュータシステムもろとも、自宅に持ち去っていたという破天荒なニュースだった。

牛肉よりも、こちらの方がはるかに深刻だ。盧大統領が違法に持ち去った国家機密情報が北朝鮮に渡ったら、一体、韓国はどうなるのか。事実、少なからぬ人々が、すでに北朝鮮に渡った可能性もあると懸念していた。盧前大統領の行為はまさに国家への背信である。

にもかかわらず、テレビ局を中心とするメディアは、前大統領の機密情報持ち去り事件よりも、牛肉問題をより重視し、李大統領への非難を煽り続けていた。

なぜ、そうなるのか。疑問に思っていたとき、若いフリーランスの記者、K氏に会った。K氏は、MBCがBSEと米国産牛肉について事実を捏造し、虚偽の報道をしていたこと、そうして国民の反政府感情を煽っていたことなどを詳しく語った。

事実捏造で、反大統領の論陣を張るMBCは、もはや真っ当なメディアとは言えない。別の人物は、他の言論機関と同じく、MBC内部では主体思想派とマルクス・レーニン派がせめぎ合っており、MBCで働く人々の多くが左派だと考えるべきだと強調した。

MBCをはじめとするメディアの偽りの報道が、国民を煽り立て、激昂した国民は反政府デモに走る。こうして世論は間違った方向に誘導されていく。現在の韓国の病理のひとつがメディアの偏向報道にあるのは、明らかだ。それにしても、事実を捏造するような失格メディアが、なぜ、韓国報道界の主軸のひとつとして活躍し続けているのか。なぜそのような異常事態が許されてきたのか。

背景には、政界、言論界における国家理念の欠落と、国民教育における過ちがある。

これらはどちらも単独で切り離して語れる問題ではない。双方が原因となり結果となり、絡み合って増幅しながら、大きな課題をつきつけている。国の命運を左右するこの問題は、ユーラシア大陸における政治情勢と深く関わっており、韓国の国内を見詰める視点だけに立脚していては、問題の本質は見えてこない。

問題の核心は、北朝鮮をどのように位置づけるかに尽きる。それは即ち自由と民主主義に依って立つ韓国の基本的政治理念を確認し続けることでもある。

北朝鮮政策の決定と構築には、北朝鮮の背後に存在する中国とロシアに、政治的、外交的にどう対処するかという大問題への回答が必要だ。大きな枠組で言えば、従来の、米国及び日本と基軸を共有する海洋国家の道を選択し続けるのか、それとも中国やロシアに接近し、大陸国家の道を選ぶのかという戦略的選択に行き着く。その選択こそが、北朝鮮にどのように対応するかの基本ではないかと私は考えている。

政治は世論を反映する。したがって、韓国の政治軸のブレを理解するには、韓国世論の特徴を見なければならない。ここ数年の韓国世論の特徴のひとつは、民族主義である。それは以下のような世論調査からも窺える。

二〇〇五年八月十五日、『朝鮮日報』が報じた韓国の若者の意識調査では、北朝鮮と米国が戦えば、北朝鮮を支持すると答えた若者(一九八〇年代生まれで、十六歳から二十五歳)は、全体の六五・九%を占めた。同調査で、六三・九%が北朝鮮を「好き」と答え、八〇・七%が北朝鮮を「協力支援の対象」と答えた。対照的に、北朝鮮を「危険な相手」と否定的に見る若者は十四%にとどまった。

彼ら若者たちの熱烈な支持を受けて誕生したのが盧武鉉前大統領だったが、私も懸念していたとおり、前大統領は北朝鮮の核開発に関して一貫して寛容だった。韓国世論にも、北朝鮮の核は、統一の暁には朝鮮民族の核となるので問題はないとの見方が存在した。

民族主義と、北朝鮮の脅威に対する過少評価は表裏一体なのだ。

ソウルで見聞すると、韓国の人々のなかに、民族同胞への極めて熱い想いがあるのが感じられる。北の、飢えに直面する人々への同情は、けだし自然な感情であろう。しかし、独裁国家としての北朝鮮、非道の金正日体制が韓国に及ぼす脅威に、斯くも無防備なのはなぜか。そこに、教育の問題があると私は見る。

今年、韓国の行政安全省が行った中高生対象の調査では、朝鮮戦争が北朝鮮によって引き起こされたと正しく答えた生徒は四八・七%にとどまった。半分以上の生徒たちが、父や祖父の戦った朝鮮戦争の発端について知らなかったのだ。同調査では、朝鮮戦争を引き起こしたのは日本だと答えた生徒が十三・五%、米国と答えたのが十三・四%にも上る。

歴史の事実から離れ、間違った認識を持つ生徒たちが、現実を正しく見ることができないのは当然だ。結果として、同調査で、韓国の安全に最も脅威なのは米国だと答えた生徒は二八・四%に上った。日本だと答えたのは二七・七%、合わせると五六%あまりだ。他方、北朝鮮を最大の脅威ととらえるのは二四・五%、中国は一三・〇%にとどまっている。

もうひとつ、今年四月二十日の『朝鮮日報』に兪碩在記者が衝撃的な調査について報じた。二〇〇四年に陸軍士官学校に入学予定の学生たちに、同学校が無記名のアンケート調査を行った。「韓国の敵はどこか」との問いに、約三四%が「米国」と答えた。「北朝鮮」と答えた三三%よりも多かったのだ。

国家防衛の最前線に立つ彼らがまず直面する敵、つまり現実の脅威は、現状ではどう考えても北朝鮮、或いはその背後の中国であろう。朝鮮戦争で五万人の兵の命を犠牲にして韓国を守り抜き、現在も価値観を共有する米国を、韓国防衛の主軸になる士官学校の学生たちが、「韓国の敵」の筆頭に挙げたことに、心底驚くものだ。実体と現実の懸隔がこれほど大きいという事実は何を物語るのだろうか。

朝鮮戦争を戦った世代の人々は、いま、韓国の人口の約1割を占める。彼らにとって、若い世代の知識不足と間違った教育から生まれる甚だしい現状認識の過ちには、信じ難いものがあるだろう。この状況を生み出した韓国の教育は、日本におけるそれよりも尚、徹底して偏向していると考えざるを得ない。韓国の偏向教育の特徴は、北朝鮮体制の美化と建国以来歩んできた韓国の正しい方向性の否定に尽きるだろう。

元『朝鮮日報』の論説委員で現在『韓国論壇』を発行する李度駸氏は『北朝鮮化する韓国』(草思社)で、北朝鮮の対南工作は非合法、半合法、合法の三手段を用い行われてきたと指摘する。氏は、北朝鮮は朝鮮戦争に代表される非合法手段においてまず、失敗したとし、次に「韓国に派遣するゲリラによる暴力と、左翼思想を扶植するといった合法的な手段とを取り混ぜた半合法闘争」でしくじり、彼らはいまや、「教育やメディアを使い、合法的手段をもって既存の制度や秩序をくつがえそうと」しているとし、国家がかかえる危険の核心がどこにあるのかを喝破する。

先に触れたMBCの虚偽報道に見られるように、韓国の多くのメディアは、左翼思想の宣伝機関であるかのような反政府報道を恥じない。たとえ報道が嘘であっても、影響力は極めて大きい。私自身、盧武鉉政権下の韓国で行った取材を振りかえり、また、その後も継続してきた韓国情勢の分析に基づけば、北朝鮮を賛美し、日米両国を敵視する教育は、背筋を寒からしめるほど、韓国社会の深部、特に知識も経験も不十分な若者世代に、最も深く、浸透していると感ずる。

朝鮮戦争で血の絆を確認し合った米国よりも、単に同胞であるという理由で金正日総書記に親しみを抱くのは、目を閉じて世界を見渡すようなものだ。金正日体制下で三〇〇万人が餓死に追いやられた。二〇万人もが政治犯収容所に幽閉された。多くの人々が動物のような扱いを受けている。こうした事実は、悪名高い耀徳政治犯収容所から生還し、脱北した姜哲煥氏らの証言などを通して、国際社会に知られてきた。米国のブッシュ大統領は姜氏の著書を読んだうえで、氏をホワイトハウスに招いた。ブッシュ大統領の言動は国際社会の主流の考え方ではないだろうか。

民族主義とは、金正日体制の下で同胞が犠牲になっている体制の修正、再建へと向かってこそ、真価を発揮するのではないか。北朝鮮の体制に同調するよりも、北朝鮮と厳しく対峙した朴正熙大統領の体制のほうが、はるかに正しく、善であったと真正面から認める方が筋道が通っているのではないか。

ところが、現在の「民族主義」は、金正日体制を根本的に問い糾そうともせず、いまの北朝鮮を韓国よりも高く評価していると思われる。運動家たちは、北朝鮮の主張に同調し、北朝鮮では決して許されない自由を韓国で最大限享受しながら、その自由と民主主義を韓国に根づかせてきた建国以来の先人たちの足跡を全否定する。彼らは、ひと握りを除いておよそ誰も幸福にしない異質の金正日体制と融合しようとしているにほかならない。

韓国の「民族主義」は、このまま行けば、韓国の未来を過つことになると断ぜざるを得ない。そして韓国にもたらされるのは、韓国の北朝鮮化だけである。

健全な民族主義は一にも二にも、南北朝鮮の歴史を、事実に沿って学ぶことから生まれる。そこに、朝鮮戦争を体験し、戦いの記憶を心にとどめている人々のまだ活躍する場がある。実は日本もまた、誤った教育のツケの深刻さに苦しみ悩みつつ直面している最中であり、口はばったいことは言えないのだが、歴史の実態を知る世代や、その世代の体験を聞いて学んだ人々が、いま若い世代に、自分たちの体験と知識を、順送りに語ってきかせることはとりわけ重要であろう。自国の歴史を正しく学ぶことによって、若い世代は自ずと真の脅威がどこにあるのか、国益を確かにするには、どの国と協力するのがよいのかを察知するだろう。歴史の伝承こそ、日韓両国の、良識ある保守陣営が担っていくべき共通の課題だといえる。

韓国の将来展望を考えるとき、怠ってはならないのが、中国の朝鮮半島に及ぼした影響の分析である。前述の李度駸氏が、朝鮮戦争で中国の果たした役割について書いている。

「一九五〇年十月末、あと一週間で韓国軍・国連軍は鴨緑江・豆満江の線に到達し、韓半島の統一は成就したはずだった。ところがそこへ共産化した中国が、援朝(鮮)抗米志願軍というかたちで五十万人以上の兵力を一気に投入したため、国連軍と韓国軍はその人海戦術に敗れて後退し、宿願の統一は果たされなかった」「休戦後も中国が積極的に北朝鮮を支援しなければ、金日成の政権が維持されるはずはなかった」「分断状態が半世紀にもおよんだ責任は、金日成とともに毛沢東にある」と。

毛沢東以来、中国の世界戦略は何を目指してきたのか。二〇年来、国際社会の警戒を呼び起こしてきた異常な軍拡は何のためか。一連の問いへの答えは、幻想抜きの冷徹な分析なしには得られない。

建国以来、毛沢東らは国力の源泉は軍事力にあるとしてきた。強大な武力を基盤として国力を強め、中国史上、最大の版図を誇った清朝時代の領土領海を再び制覇することを目指してきた。高句麗はかつて中国の一地方政府だったとする主張は、朝鮮半島における彼らの深謀遠慮の着地点を明確にしたと言える。北朝鮮と韓国は元々ひとつの国である。中国の長期戦略は朝鮮半島全体への支配権の確立だと見るべきだ。だからこそ、韓国は北朝鮮の脅威とともに、その背後の中国の脅威にも、焦点を当てなければならないのである。

中国の現状を海洋国家の立場から見れば、とりわけ憂慮せざるを得ない。彼らは、南進の準備を整えたと思えるからだ。

中露両国は二〇〇四年に国境問題を完全に解決したと発表した。旧ソ連のコミンテルンの指示の下にあった中国共産党は、長年、旧ソ連を真に恐れた。ロシアとなってからも、両国の国境線を巡る争いは尽きず、背後のロシアの脅威は中国にとって深刻だった。二〇〇四年のプーチン政権との手打ちによって、中国は長年恐れ続けてきた北からの脅威の払拭に成功したといえる。

翌年、両国は、中国側の要請で、戦後初めての大規模合同軍事演習を実施した。さらに翌二〇〇六年には、中央アジア四ヵ国をメンバー国にした上海協力機構の首脳会談を行って、政治宣言を発表した。政治宣言では「体制の違い、価値観の違いを以て、如何なる国も他国に干渉してはならない」と謳い上げたが、これは日米欧諸国が民主主義、自由の尊重、人権と人道の擁護、法の支配の尊重などを掲げて、中国やロシアに干渉するのを許さないというメッセージである。自分たちの国の弱味を表現していると受け取れる。

中国にもロシアにも、そして北朝鮮にも、右に掲げた価値観は一向に定着していない。彼ら大陸国家は、国民の人権を守るという考えさえ、持ち合わせていない。日米韓の海洋国家の信ずる価値観を批判するどころか、受身に転じているところを私は重視する。だが上海協力機構首脳会議における宣言で彼らはそうしたことのどこが悪いのかと開き直っている。はなはだ奇妙な感じがするが、その中心に立つのが中国だ。

中国とロシアが主軸の上海協力機構は、二〇〇七年にはイラン、インド、パキスタン、モンゴル、アフガニスタンをゲスト、或いはオブザーバーとして招いてまたもや大規模合同軍事演習を実施した。ユーラシア大陸は、いまや、異形の国々が席捲するのである。

中国はこうして、背後を固め、足下を固め、南進の準備を整えた。過去二〇年間、国民が飢えようが、文革という内戦が続こうが、絶えることなく最優先で続けてきた軍拡に裏打ちされた軍事力がある。南進の当面の目標は台湾の獲得であろう。だが、北朝鮮に万一の異変が生ずる場合、中国は必ず、北に対して行動を開始する。中朝国境地帯の中国軍の状況を見れば、そう考えるのが自然である。国境地帯での準備は、脱北者の大量流入を防ぐためと中国は説明するが、額面どおりには受けとり難いのだ。

再びここで強調すべきは、その中国に支えられているのが北朝鮮だということだ。北朝鮮問題は、即、中国問題なのである。

建国六〇周年の記念すべき年が、韓国の持てる力を曇りのない目で見詰め直す年となってほしいと心から願っている。日本と同じく、資源に乏しい韓国の、最重要の資源は人材である。韓国には尊敬すべき多くの勇気ある人々がいる。いま、そうした人々が、韓国の未来に影を落とす北朝鮮のあらゆる謀略を振り払う闘いに、再度、力を結集する時だ。金正日政権への同調勢力は、必ず、対抗してくるだろう。彼らは、国内においては、人類の普遍的価値観である民主主義や自由、法の支配や人権を奉じる保守勢力を潰し、対外的には、海洋国家同士の連帯を阻もうとするだろう。偏向したメディアを利用して、混乱と軋轢を生じさせ、まともな国家運営を不可能にして、韓国の力の衰退を招こうとするだろう。竹島、BSE問題のように、日米韓の離反を促すべく、煽り続け、そのために、教科書や歴史を含め、あらゆる問題を利用するだろう。だからこそ良識ある人々は、反日、反米、反韓の感情の渦に落ちてはならないのだ。

いま最も必要なのは日米韓の良識ある人々の安定した交流である。十分な意思の疎通がはかれれば、問題は必ずよい方向で解決されていく。海洋国家間の戦略的連携の枠組みの構築が急がれるゆえんである。

最後に、私は、韓国の人々が祖国への愛を貫き、どんな状況下でも、自由と民主主義を守る闘いを続けていくよう、願うものだ。日本にとって韓国はかけがえなく大切であるがゆえに、心から熱くその闘いを支援したい。


ソウル市内の大型書店、日本語書籍のコーナーを視察するメンバー


次期大統領候補と目される金文洙京畿道知事(右から三番目)らとの会談