1 全 般
日本に対し、8月26日にY―9情報収集機が長崎県男女群島沖で領空侵犯を、31日にシュパン級測量艦が鹿児島県口永良部島西で領海侵犯を行った。中国軍機としての我が国に対する領空侵犯は初確認である。領空侵犯が故意か過失かは不明であるが、習近平総書記兼中央軍委主席が7月30日に指示した「国境・海空域防衛力整備」強化に従い、新たな手段をもって対日情報収集を強化した可能性がある。
また、台湾に対しても海警船以外の中国公務船による台湾周辺海域の活動常態化や海空協同戦備パトロール時の無人機による台湾本島周回飛行等、新たな法執行活動や情報収集を開始・強化させている。
南シナ海においてもフィリピン(以下、比)への対決姿勢を強めており、中国海警船が比公船の活動を実力で阻止しようとした結果の衝突や比機へのフレア発射が繰り返された。
これら台湾・比への強硬姿勢も「国境・海空域防衛力整備」強化の一環である可能性がある。
一方、比を除くASEAN各国やアフリカ諸国との共同演習や軍事交流を深化させ、中国の影響力の強化及び武器輸出への下地作りを行った。米国に対しては訪中したサリバン米大統領補佐官と軍人として軍のトップである張又侠・中央軍事委員会副主席が会談する等、現時点では米国との衝突を避け対話を望む姿勢を示した。