公益財団法人 国家基本問題研究所
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最近の活動

2025.07.08 (火) 印刷する

中国軍事動向月報 2025年6月

1 全 般
6月は、軍の2コ空母編隊の西大西洋遠海訓練や陸軍の着上陸訓練・戦備訓練等、訓練の活発化が確認された。

台湾周辺においては顕著な活動は確認されなかったが、金門周辺海域での中国海警によるパトロール常態化に引き続き、東沙海域においても本年に入り月1回程度の海警船による制限水域進入が定例化されつつあり、東沙周辺での中国公船によるプレゼンスを常態化させようとしている。

日本周辺では、2コ空母編隊の西大西洋遠海訓練に関連し延べ90隻以上の艦艇が活動し、空母遼寧の南鳥島EEZ内で活動、空母山東艦載機の海自P3-Cへの異常接近等が確認された。実海域おける接近阻止の訓練や第2列島線進出時の日本の警戒監視態勢を確認した可能性がある。

また、尖閣周辺では海警船が通常と違うパターンで領海侵入をしており、尖閣任務海警編隊が軍との訓練に連携して領海侵入した可能性もある。

南シナ海においては、引き続きフィリピン(以下、比)への威圧を継続した。特に14日、海上自衛隊と比海軍の南シナ海での共同訓練同日に南部戦区が海空統合パトロールを行っており、比と日米豪等との連携を強く警戒している。
軍事交流では、マレーシア海上法執行庁艦船が初訪問した。中国海警局は本年1月に訪中したインドネシア海上保安機構長官と初のハイレベル会議を開催した。また、ベトナム海洋警察とはトンキン湾合同パトロールを定期的に実施しており、4月に1回目が終了している。南シナ海周辺国である、マレーシア・ベトナム・インドネシアとの海上協力を強化し、比包囲網形成を図っている可能性がある。