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2008.03.23 (日)

【提言】 中国はチベットでのデモ弾圧取材規制を解除せよ

平成20年3月23日
国家基本問題研究所

中国はチベットでのデモ弾圧取材規制を解除せよ

 
 3月10日からチベットで始まったデモに対して、中国政府が暴力的な弾圧を行い多くの死傷者が出ている。本研究所は今回の許し難い弾圧に対して緊急提言を行う。
 
【提言】
1.中国政府はチベットでのデモ弾圧に対して外国人記者の自由な取材、調査を認めよ。
2.中国に支局を置くすべてのわが国マスコミは、中国政府に現場での取材を強く求めよ。
3.わが国政府は、中国政府が弾圧現場の取材を認めるように強く要求し、それが実現しない場合には、オリンピック参加見直しを含む毅然たる措置を執るべきだ。

 
 
【基本的視点】
・チベットは中国とはまったく異なる独立国だった。1950年の中国共産党による軍事侵略により、強制的に中国の支配下に入れられたにすぎない。
・中国共産党は、チベットは歴史的に見て中国領だったと主張するが、①宗教、政治、経済、文化、どれをとっても中国よりはインドとの関係が深く、②軍事侵略以前にはチベットと中国を直接結ぶ交通路さえなかった。
・中国共産党はチベットで、漢民族の移住と漢族・チベット族結婚の奨励、チベット語の使用禁止、チベット仏教の変質化など「チベット文化の虐殺」(ダライ・ラマ法王)を続けてきた。
・チベット人はそれに対して、1959年の「チベット動乱」や1989年の「暴動」に代表されるようにくり返し独立を求める声を上げ続けてきた。しかし、中国共産党は軍を動員したすさまじい虐殺によりそれらを鎮圧した。
・今回も中国共産党は、チベットの必死の抗議を軍事力により強硬に押さえ込もうとしている。そして、重大な人権侵害を国際社会に非難されないように、外国人記者の現地への立ち入りを禁止している。
・わが国政府は、正当かつ平和的なデモに対する武力鎮圧に対して、抗議をまったくしていない。外務省は、3月15日に「関係者の冷静な対応を求め、今回の事態が早期にかつ平和裡に沈静化することを強く期待する」外務報道官談話を出し、福田首相は18日「憂慮している。(中国当局とデモ参加者の)双方が冷静に適切な対応を取ってほしい」と述べただけだ。
・中国が今回の弾圧の正当性を国際社会に対して主張するのであれば、最低限、現場での外国記者の自由な取材を認めるべきである。それができないのであれば、平和とスポーツの祭典であるオリンピックの開催資格が問われよう。