公益財団法人 国家基本問題研究所
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役員論文

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2012年9月の記事一覧

 問題を妥協で収めることは日本の敗北の一歩となる  櫻井よしこ   尖閣諸島問題で、中国政府は反日デモを抑制しており、それ故に日本政府が尖閣防衛で積極的に動かず、「冷静に対処」するのが正しい道だという政府や多くのメディアの主張や説明は根本から間違っている。 胡錦濤国家主席も、習近平副主席もいま全力を挙げて、尖閣諸島を中国領として確定する道筋をつけている。漁船1000隻が尖閣諸...

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 安倍氏は「戦後脱却」の使命担え 杏林大学名誉教授・田久保忠衛   中国は「愛国無罪」、日本は「愛国有罪」  日本の最高指導者の地位に最も近いところに身を置いた安倍晋三自民党新総裁に、まず祝意を表したい。かねて、「戦後レジーム」からの脱却を唱えていた同氏に、時代が「アンコール」を要求したといえる。が、鬱陶(うっとう)しい梅雨が続いた後の晴れ間を見る気持ちには私はまだどうしてもなれない。...

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 国防の危機! 尖閣を護れ  櫻井よしこ   尖閣諸島問題で日本に問われているのは、主権の基盤である国土を守る気迫と、最終的に武力をもって戦ってでも守り通す気概があるのかということだ。 領土問題は主権問題でありその余の問題とは決定的に性質が異る。国を取るか取られるかの瀬戸際に立ついまこそ、日本は領土を防衛する究極の気迫と力を現実の形にすべきである。 日本と同様、中国に領土を奪...

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「政治空白」はもう引き延ばせぬ  拓殖大学大学院教授・遠藤浩一   空疎な、あまりにも空疎な、民主党代表選挙だった。  野田佳彦首相が圧勝して選挙が盛り上がらなかったから、そう言うのではない。候補者がいずれも小粒で魅力に欠けていたからでもない。「原発ゼロ」方針をめぐる不毛なやりとり以外に政策論争が見当たらなかったからでもない。  ≪解散先送り期待で野田再選≫  候補者の小粒化も政策論争不...

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中国の不安定化が増す中 尖閣防衛体制の確立は急務  櫻井よしこ   9月11日、日本政府が尖閣諸島を国有化すると、中国共産党機関紙「人民日報」をはじめ中国メディアはいっせいに反日デモの写真を一面トップで報じた。中国人民解放軍(PLA)陸海空軍は黄海の無人島で上陸訓練を実施、中国中央テレビが映像を報じ続けている。軍機関紙「解放軍報」は、中国は半歩たりとも引かないとして、対日軍事行動に出...

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 「世界市民」がはまりやすい陥穽  比較文化史家、東京大学名誉教授・平川祐弘   日本国民であるより世界市民であれ、と鳩山由紀夫氏は唱えた。偏狭な国家主義を奉じるより世界公民の方がいい。国際的見地から自国を批判する人は大切だ。だが愛国より無国籍の方が恰好(かっこう)がいいという知的ファッションは困る。  ≪石原氏と比較しての大江氏≫  世界市民を名乗る人は多いが、その割にはその...

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対ロ外交、飛んで火に入る野田政権  櫻井よしこ   オバマ米国大統領はウラジオストクで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)を欠席した。ロシアのプーチン大統領が5月、米国での主要国首脳会議(G8)を欠席したことへの反応と見られている。 野田佳彦首相も9月8日からのAPECを抗議をこめて欠席すべしという意見があった。メドベージェフ首相を筆頭にロシア政府の閣僚たちが北方領土に不法上陸...

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「全員帰還」を日朝協議の条件に  東京基督教大学教授・西岡力     拉致被害者の早期救出を呼びかけた9月2日の国民大集会で、曽我ひとみさんは「月や星を見ながら、ずっと日本から助けが来るのを待っていました」と語った。小泉純一郎首相が訪朝し、金正日総書記に拉致の事実を認めさせて10年。曽我さんら5人の被害者と家族は帰還した。だが、多数の被害者は今も北朝鮮の地で抑留され日本からの助...

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生活インフラの整備が全く進まず住民が戻れない福島原発警戒区域   櫻井よしこ   8月末、福島第一原子力発電所(F1)事故の後遺症に苦しむ市町村を取材した。F1から20キロメートル以上離れた広野町を手始めに、海岸沿いに、8月10日まで警戒区域に指定されていた楢葉町を抜け、現在も警戒区域の富岡町、大熊町、双葉町、浪江町とたどって南相馬市まで、1日かけて見てきた。NPO法人「ハ...

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領土問題は正念場  櫻井よしこ   外務省、日本国領有の痕跡を消し去るべきという考えも  尖閣、国防、原発、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など、日本国にとって喫緊かつ根本的問題のすべてで野田佳彦首相は敗北を重ねつつある。  尖閣諸島を国有化しても、「平穏かつ安定的な維持」のためと称して、島の現状を保ち、日本国領有の実態を強化する船だまりや灯台を整備しないのでは、何のために税で...

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憲法改正で国家として拉致解決を目指せ  櫻井よしこ      去る9月2日、東京・日比谷公会堂で「すべての拉致被害者を救出するぞ!国民大集会」が開かれ、会場は参加者で一杯だった。今年、2度目の大集会を催した理由は、拉致被害者が帰国して10年の節目に、改めて北朝鮮にメッセージを送るためだ。 どれほどの時間が過ぎても日本国民と日本政府の拉致に対する怒りは鎮まりはしないこと、被害者全...

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大使の国旗を奪われても強国の中国には怒れない日本  櫻井よしこ      8月27日夕方、北京駐在の丹羽宇一郎大使の乗った公用車が襲われ、日本の国旗が奪われた事件の意味の重大さを、野田佳彦首相は理解しているのだろうか。日本の外務省自身、日本の名誉を守り、日本の立場を主張し、国益を守る責務を忘れてしまっているのではないか。 事件発生当日、在北京日本大使館の堀之内秀久次席公使が羅照輝中国...

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 領土・領域は憲法改正して守れ  駒沢大学名誉教授・西修   国家主権、とりわけわが国の領域を保全する法体制が早急に整備・強化されなければならない。  野田佳彦首相は8月24日の記者会見で、韓国国家元首としてあるまじき李明博大統領の島根県・竹島への上陸、香港活動家らの沖縄県・尖閣諸島への上陸を受けて、「わが国の主権に関わる事案が相次いで起こっており、誠に遺憾の極みであり看過でき...

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「天下り根絶」叫び圧勝した民主党政治の失敗  評論家・屋山太郎   総選挙を控えて、政界再編の波が押し寄せてきた。分裂した民主党は、どう再建を図るのか。政権復帰を狙う自民党は、誰を総裁に選ぶべきか。政界は与野党ともに混沌(こんとん)とした様相をみせている。そして、突如として誕生した「大阪維新の会」は、再編の動きにどうかかわってくるのか。  ≪自民党の失敗、民主党正せず≫  政治を...

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歴史認識問題で日米分断の危険性  櫻井よしこ   8月27日、駐北京の日本大使の乗った車を2台の乗用車が連携して停車させ、中国人とみられる男が日の丸の旗を奪い気勢を上げて逃走した。中国版ツイッターの「微博」では犯人を「民族の英雄」とする書き込みが相つぎ、尖閣諸島に関する中国の主張が掲載され続けた。「琉球も中国の領土」という主張も展開され、「反日無罪」というべき過激なナショナリズムが広がりつつ...

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尖閣諸島を中国に奪われたとき日本はこれを奪還できるか   櫻井よしこ   南シナ海に中国が初めて軍事侵攻をかけたのが1974年1月だった。南ベトナム(当時)が領有していた西沙諸島の西半分を奪うため、海と空から攻撃し、南ベトナム軍哨戒艦2隻を撃沈、多数の兵を殺傷した。泥沼化していたベトナム戦争で南ベトナムを支援していた米国にはもはや対中反撃能力はないと見越した上での攻撃だった。 ちな...

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