米ヴァンダービルト大(テネシー州)のジェームズ・アワー教授は10月11日、国家基本問題研究所で、オバマ政権や日米関係の現況について研究所の企画委員と意見交換した。この中で、アワー教授は、尖閣諸島付近の「日本の防衛識別圏」に進入した中国の無人機(UAV)への対処について言及、日本側が対応策をとらなければ中国はさらに対日攻勢をエスカレートさせよう、との懸念を表明した。
また、アワー教授は、日本が対応策を取らないのは、日本が表向き尖閣には領土問題は存在しないと主張しているにもかかわらず、実は周辺領域を中国との係争地であると認識しているからだ、と中国は言い立てるであろう、と述べた。
同教授によると、恐らく安倍政権はオバマ政権から「戦争を引き起こしてくれるな」と言われ、慎重に対応しているのだろう。何もしないというのは、2010年、海上保安庁の艦艇に体当たりした中国船舶の船長を起訴することもなく釈放したのに似ている。中国による次のステップを招くことになろう。
海兵隊筋の話として同教授が紹介したところによると、米軍の無人機、グローバルホークだとかなりの高高度を飛行するので、ずっと低空を飛ぶ中国の無人機を打ち落としても中国側は視認できず、どこから撃たれたのか分からないままだろう。別のやり方はサイバー戦のような電子パルスか電波妨害をすることだ。いずれにしても中国は、かってのソ連と同様、力にしか敬意を表さない国である、と教授は強調した。
中国と韓国が問題視する首相ら議員の靖国神社参拝について、中国やアメリカがとやかく言う問題ではない、と教授は改めて強調した。教授は長く国防総省の日本部長を務め、自身6,7回は靖国を参拝している。「日本の首相がワシントンのアーリントン墓地を参拝しているのに、自分の国の靖国にはお参りできないなんて異常なこと。外部から何だかんだというのは全くの内政干渉です」と教授は明言した。
他国に対しては年中、内政干渉といちゃもんをつける中国が靖国参拝を問題視する原因の一つは、朝日新聞が作り出したと思う、と教授は指摘した。中国政府当局者に対し、記者がいちいち「日本の行動は問題ないのか」と問い続けてきたからだ。このほか、教授は集団的自衛権の問題、ケネディ新駐日大使の評価、朝鮮半島情勢などについても語った。
(文責 国基研)