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2020.06.02 (火) 印刷する

堂々と媚中する二階幹事長 有元隆志(産経新聞社正論調査室長兼月刊「正論」発行人)

 「日本に上陸しているもう一つの脅威」と題して、月刊「正論」7月号(6月1日発売)は、西側情報機関がまとめた中国の対日工作の実態を報じている。報告書では、中国側が「日本の政財界のリーダー、エリート官僚に取り入り、経済協力の魅力的な提案を提示し、中国市場参入への有利な条件を申し出る。そうしたことで中国の活動に対する米国などによる批判を抑える工作をしている」と記している。
 中国の「工作」に乗っかっている政治家が、自民党の二階俊博幹事長だ。二階氏は6月1日の記者会見で、中国の全国人民代表大会(全人代)が香港への国家安全法導入を決めたことについて「他国の政治行動について、とやかく意見を述べることは適当ではない。慎重に見守っていくということでいいのではないか」と述べた。自民党を含めた超党派の国会議員が各国の国会議員と連帯し、香港への統制を強める同法に「深刻な懸念」を表明する共同声明に署名するなど反対運動をしているにもかかわらずだ。

 ●「一帯一路」を積極的に支持
 二階氏というと平成12(2000)年5月、運輸相のときに旅行、観光業界関係者ら約5000人を、総務会長時代の平成27(2015)年5月にも同じく旅行業協会関係者ら約3000人をそれぞれ引き連れて訪中した。二階氏はNHKの取材に「お互いの国の人たちが仲良くしていくためには、やっぱり人々との交流を、ある程度の量をもって進めることが必要ではないか。この指集まれ、一緒にやりましょうとね」と語っている。
 二階氏の対中外交の根底には師と仰ぎ、日中国交正常化を実現した田中角栄元首相の存在があるという。国交正常化以降、田中元首相に続き竹下登元首相、小渕恵三元首相ら旧田中派の系譜に連なる議員たちが中国との関係改善・維持に役割を果してきた。いま、それを受け継いでいるのが二階氏だ。
 二階氏は昨年4月にも、安倍晋三首相の「特使」として北京を訪れ、習近平国家主席と会談しているが、会談後に二階氏は記者団に「今後も互いに協力し合って(中国の巨大経済圏構想である『一帯一路』を)進めていく。米国の顔色をうかがって日中の問題を考えていくものではない」と強調した。

 ●「日米同盟に楔」ねらう中国
 西側情報機関の報告書にあるように、二階氏は対中貿易や人的交流の再開に積極的に乗り出そうとするかもしれない。米中関係が比較的良好だった時ならば問題視されないかもしれないが、中国から広まった新型コロナウイルスで米国では10万人以上が死亡し、かつてないほどに米国民の対中感情が悪化している。泥沼化したベトナム戦争(約5万8000人)よりもはるかに多い死者が出たことを軽視してはなるまい。
 西側情報機関の報告書は「日本国内における(中国の)工作活動は今後激しさを増すであろう」と警鐘を鳴らす。米中関係の悪化が避けられないなかで、強固な日米同盟に楔を打ち込むことは、これまで以上に中国にとって重要になってくるためだ。その工作対象の「中心人物」が二階氏であるのは間違いない。
 日本の唯一の同盟国は米国であって中国ではない。二階氏は師匠の田中元首相から受け継いできた「親中」がもはや通用しないことを自覚しない限り、幹事長のポストに留まるべきではないだろう。