2023年1月の記事一覧
米下院が中国問題特別委設置 島田洋一(福井県立大学教授)
米国で新議会がスタートし、下院議長も決まった直後の1月10日、下院に「米国と中国共産党の間の戦略的競争に関する特別委員会」が設置された。 民主党議員も多くが支持し、設置賛成が365票、反対が65票だった(反対は全て民主党議員)。ただし、民主党側の賛同を得るため、証人喚問の権限は付与しない形で発足した。議事運営で主導権を握る多数派の共和党が、バイデン政権の関係者を次々喚問し、つるし上げる事態を...
米海兵沿岸連隊の意味合いと注目点 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
11日に行われた日米外交・防衛閣僚による安全保障協議委員会(通称2+2)の共同発表で、沖縄の米第12海兵連隊が2025年までに第12海兵沿岸連隊(Marine Littoral Regiment=MLR)に改編されることが明らかにされた。筆者は、先週の「ろんだん」で統合海洋軍(Integrated Maritime Force=IMF)構想について論述し、その中にMLRが含まれることに言及したが、...
金総書記の4人の女性と7人の子ども 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授)
私は昨年12月26日に本欄で「金総書記が娘を公開した理由」というコラムを書いた。そこで、北朝鮮労働党総書記の金正恩の随行秘書をしている労働党宣伝煽動部副部長の玄松月について、「金総書記の愛人であることと、玄副部長に息子がいることは間違いないものの、9月9日に出てきた少女が玄副部長の娘だとは確認できなかった」と記した。 その後、複数の筋から詳細な情報を得ることが出来たので、金正恩の乱れた女性関...
2050年カーボンニュートラルに必要なこと 奈良林直(東京工業大学特任教授)
グリーントランスフォーメーション(GX)とは、地球温暖化や環境破壊などを引き起こす温室効果ガスの排出を削減し、環境改善と共に経済社会システムの改革を行う政策である。この中核を成すのが二酸化炭素(CO2)を出さないグリーンエネルギーで、太陽光や風力などの再生可能エネルギーだけでなく、原子力にもにわかに注目が集まっている。 我が国も、産業革命以来の化石燃料中心の経済・社会・産業構造をクリーンエネ...
海保の軍機能保持はやはり必要だ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
昨年末に閣議決定された安保3文書において、海上保安庁は海上法執行機関として位置付けられたので、軍としての機能を保持しないことを定めた海上保安庁法25条は改正の必要なしとする論調がメディアに散見される。しかし、海上保安庁と共に中国の海洋進出を阻止する米国の沿岸警備隊は、海上法執行機関であると同時に5軍(陸・海・空・海兵隊・沿岸警備隊)の一つであり、海上保安庁は軍としての機能を保持した方が日米同盟を強...