公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2023年3月の記事一覧

韓国では尹錫悦政権が打ち出した戦時労働者問題解決策と尹大統領の訪日の結果に対して、野党、左派言論から「屈辱売国外交」という非難の声が上がっている。学界でもソウル大学、高麗大学、東国大学、歴史関連53学会などが糾弾声明を出した。一方、与党、保守言論からは評価する声が上がり、激しい論争が続いている。 それを意識して尹大統領は訪日直後の3月21日の閣議の冒頭、「韓日関係を放置することは大統領として...

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中国の習近平国家主席は3月20、21の両日、モスクワでロシアのプーチン大統領と会談した。習氏の訪ロは昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻後で初めてだ。なぜ習氏は今回「中ロは結託している」と批判されることが分かりながら敢えて訪ロに踏み切ったのか。それも2日間で10時間以上、対面で話し合ったということから、よほど重要な案件があったと考えるべきだろう。 その重要な案件とは何か。 今回の首脳会...

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中国外交はその時々の都合で、「穏歩」と「急進」を交互に繰り返してきた。威圧的な「戦狼外交」を棚上げしたはずの中国が、今また対米強硬姿勢に転じている。習近平国家主席が3月初旬の演説で、自国に対する「全面的な封じ込め、包囲、抑圧」の勢力として米国を名指しで非難し、「我が国の発展に前例のない深刻な課題を突き付けている」と強硬度のペダルを踏み込んだ。自らの経済政策の失敗を隠し、米国による先端半導体の輸出規...

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8日、米国家情報長官室が情報機関による年次脅威査定報告書を公開した。日本のメディアでは「中国が最大の安全保障上の脅威」とか「2027年までに台湾有事への米国の介入を阻止できる軍事力を構築することを目指している」といった点を報じているが、筆者が注目したのは報告書に何回も出てくる「悪意ある影響(力行使)作戦」であり、それを具現化する偽情報の拡散や、中国共産党に都合の良い物語(narrative)の流布...

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中国の全国人民代表大会(全人代=共産党主導の国会)が13日に閉幕、習近平党総書記・国家主席の3期目の政権が正式に発足する。習氏腹心の李強氏を首相に据え、経済政策を党直轄に置く。先進7カ国(G7)は米国を中心に、中国の脅威に対しハイテク規制を軸に対抗する構えだが、習政権の泣きどころである外資頼みの金融にも着目すべきだ。 中国経済を支えた土地関連収入 中国共産党が主導する異形の市場経済の土...

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日本政府は既に昨年3月以降、防弾チョッキ、鉄帽、防護衣・マスク、小型ドローン、そして民生車両(バン)等をウクライナに提供してきた。しかし、独キール世界経済研究所の2月21日の発表によると、軍事支援や人道支援などを含む支援総額(2022年1月~2023年1月15日)で、日本は10.5億ユーロと世界第10位にとどまっている。英国は日本の約8倍、ドイツが6倍、言うまでもなく最大支援国の米国は73倍だ。日...

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家族会(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会)と救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)は2月26日、合同の会議を開催し、「親の世代の家族が存命のうちに全拉致被害者の一括帰国が実現するなら、我が国が北朝鮮に人道支援を行うことに反対しない」という内容を含めた金正恩朝鮮労働党総書記へのメッセージを採択した。しかし、このメッセージは非現実的だと言わざるをえない。 誰も「全拉致被害者...

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