2024年12月の記事一覧
アサド政権崩壊で弱体化する4カ国枢軸 湯浅博(国基研企画委員兼研究員)
シリアの独裁者、アサド大統領がモスクワに逃亡したことにより、イランが主導するイラン代理勢力による「抵抗の枢軸」が事実上崩壊した。同時にそれは、アサド体制を支えてきたロシアの弱体化と中国による関与の後退を引き起こす可能性がある。シリア内戦で浮上した独裁国家群の地政学的ブロックが、10年という時間とともにほころび始めた。 シリアが失った露とイランの支援 アサド体制の崩壊は、ロシアによるウク...
シリア政権崩壊はロシアのブーメラン 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
シリアのアサド政権が崩壊した。主因は、後ろ盾となっていたロシアがウクライナ侵攻でシリアを支援できなくなったことと、ロシアがけしかけて始まった昨今の中東紛争で、レバノンのイスラム主義組織ヒズボラもイスラエルの攻撃でダメージを受け、シリアを支援できなくなったことだ。ロシアのウクライナ侵攻と中東での親イラン勢力支援がブーメランとなってロシアに帰ってきた。 ロシアの中東支援挫折 ウクライナの反...
大戦略を欠くトランプ氏の「力による平和」 冨山泰(国基研企画委員兼研究員)
トランプ次期米大統領は「米国第一」と共に「力による平和」の外交を唱える。共和党の先輩政治家であるレーガン元大統領も「力による平和」を掲げていた。しかし、同じ標語でも、内容は大いに異なる。 3種類の「てこ」 レーガン研究の第一人者で、米ジョージ・ワシントン大学大学院教授の政治学者、ヘンリー・ナウ氏は、著書「コンサーバティブ・インターナショナリズム」(保守的な国際主義)で、レーガン氏が米ソ...
選択的夫婦別姓導入で野党に譲歩するな 有元隆志(産経新聞特別記者)
石破茂首相は11月29日の衆参両院本会議での所信表明演説の冒頭、「政権運営の基本方針」を示した。10月の衆院選を受けて、これからどのように政権を運営するかの考え方を示したものだが、その内容は危うさをはらんでいる。 石破首相は「民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が、真摯しんしに政策を協議し、よりよい成果を得ることだと考えます」と述べた。その上で、10月27日投開票の衆院選...