公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2024年12月の記事一覧

中長期的なエネルギーのあり方を定める「第7次エネルギー基本計画」の原案では、平成23(2011)年9月の東京電力福島第1原子力発電所事故を受けた平成26(2014)年の計画改定以降、必ず盛り込まれてきた「原子力依存度を可能な限り低減する」との文言が初めて削除された。ロシアのウクライナ侵略をきっかけとした資源価格の上昇、電力需要の大幅増加に加え、政治力学が変化したことも要因として挙げられる。 ...

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12月8日、父の代から54年間続いたシリアのアサド政権がシャーム解放機構(HTS)など反体制派の首都ダマスカス制圧を受け崩壊し、バッシャール・アサド大統領はロシアに逃亡した。10日に樹立された暫定政権には課題が山積する。特にシリア国内は様々な勢力が入り乱れ、それを支援する各国の思惑も交錯し、状況が複雑化しているが、気がかりは化学兵器の行方である。 前政権の置き土産 シリア国内の反政府系...

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12月3日の戒厳令宣布に始まる韓国の一連の混乱を見て、「なぜこのタイミングでこんなことが起きるのか」と残念に思う。韓国にとって国際的に懸案が山積みであるのに揉めている暇などないのだ。 揺らぐ「安保は米国、経済は中国」 最も大きな懸案はトランプ大統領の再登場により、米国の東アジアへの関与がどうなっていくかという点だ。 韓国は第2次世界大戦後、経済は日本と米国を、安全保障は米国を頼み...

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シリアの独裁者、アサド大統領がモスクワに逃亡したことにより、イランが主導するイラン代理勢力による「抵抗の枢軸」が事実上崩壊した。同時にそれは、アサド体制を支えてきたロシアの弱体化と中国による関与の後退を引き起こす可能性がある。シリア内戦で浮上した独裁国家群の地政学的ブロックが、10年という時間とともにほころび始めた。 シリアが失った露とイランの支援 アサド体制の崩壊は、ロシアによるウク...

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シリアのアサド政権が崩壊した。主因は、後ろ盾となっていたロシアがウクライナ侵攻でシリアを支援できなくなったことと、ロシアがけしかけて始まった昨今の中東紛争で、レバノンのイスラム主義組織ヒズボラもイスラエルの攻撃でダメージを受け、シリアを支援できなくなったことだ。ロシアのウクライナ侵攻と中東での親イラン勢力支援がブーメランとなってロシアに帰ってきた。 ロシアの中東支援挫折 ウクライナの反...

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トランプ次期米大統領は「米国第一」と共に「力による平和」の外交を唱える。共和党の先輩政治家であるレーガン元大統領も「力による平和」を掲げていた。しかし、同じ標語でも、内容は大いに異なる。 3種類の「てこ」 レーガン研究の第一人者で、米ジョージ・ワシントン大学大学院教授の政治学者、ヘンリー・ナウ氏は、著書「コンサーバティブ・インターナショナリズム」(保守的な国際主義)で、レーガン氏が米ソ...

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石破茂首相は11月29日の衆参両院本会議での所信表明演説の冒頭、「政権運営の基本方針」を示した。10月の衆院選を受けて、これからどのように政権を運営するかの考え方を示したものだが、その内容は危うさをはらんでいる。 石破首相は「民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が、真摯しんしに政策を協議し、よりよい成果を得ることだと考えます」と述べた。その上で、10月27日投開票の衆院選...

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