クライド・プレストウィッツ米経済戦略研究所(Economic Strategy Institute)所長は3月1日、国家基本問題研究所で、日本の現状と将来像について語り、同研究所企画委員と意見交換した。同氏はレーガン政権の商務長官アドバイザーを務め、「日米逆転」「ならず者国家アメリカ」などの著書もある日本専門家で、現在の日本に危機感を抱いて執筆を予定している日本提言書づくりの取材、調査のため来日した。
同氏は人口動態や福祉、女性の役割など日本の構造的な問題や経済、社会動向のほか、外交、安全保障についても意見交換した。この中で、日米共に巨額の財政赤字を抱えつつも、日本が防衛支出増へ向かい、アメリカが国防支出削減へ追い込まれていることについて、プレストウィッツ氏は、米国の税率は他国に比べまだ低いので、引き上げる余地があると述べた。そのうえで、日本が防衛強化に乗り出すと、アメリカの知日派でさえ「日本のナショナリズム右傾化」と警戒の声をあげることに対し、同氏も「そうした見方は単純過ぎる」と同調した。
プレストウィッツ所長は、アメリカには歴史的に中国に対しロマンティックになる傾向があるが、米日共に「現実的」な見方が必要と強調した。企画委員側が日本が「憲法を改正、防衛を強化することでアメリカの国防支出削減の穴埋めになる」と指摘したのについても、同氏は同様の見解を表明した。
(文責 国基研)