星野知彦・日本原子力発電開発計画室長は8月9日、国家基本問題研究所の原発問題研究会で、「敦賀発電所における活断層・破砕帯問題」として講演、同研究所役員、企画委員らと意見交換した。
日本原電は、敦賀原子力発電所(福井県)一、二号機共に運転停止中で、再開を目指して現在、原子力規制委員会(田中俊一委員長)に安全審査を申請している。しかし、規制委員会が敦賀二号機の原子炉建屋直下を通る破砕帯は「耐震設計上考慮する活断層である」と結論付ける評価書案を取りまとめたため、再開の見通しは暗い。星野室長は「我々は問題とされる破砕帯、断層は一連ではない」と科学的根拠に基づいて反論しているが、規制委員会は聞く耳を持っていない、という。日本原電は、ニール・チャップマン英シェフィールド大教授(環境地質学)やニュージーランドのケルビン・ベリマン博士(地質学)らの国際チームや国内の外部専門家グループの評価報告も提出したが、規制委員会は取り上げていない。
星野室長によると、規制委員会の評価の問題点は、1)日本原電の主張を否定するデータ、根拠を示さない2)事業者が出席、議論する機会があまり与えられない3)規制委員会は結論を急ぎすぎ、議論の経過も明らかにしていない、などにあるという。
企画委員側からは規制委員会の問題性を明らかにする法的措置やメディア等を通しての発信を強化すべきとの意見も出され、星野室長はマスコミ対策については全国紙の読売、産経両新聞や地元の福井新聞が問題点をよく理解しており、さらに協力を求めていきたい、と述べた。(文責・国基研)