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2013.08.27 (火) 印刷する

「原発の安全は『深層防護』で」 宮野廣 法政大学大学院客員教授

国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)は8月2日、法政大学大学院の宮野廣・客員教授をゲスト・スピーカーに招き、原子力問題研究会を開催した。宮野教授は「原発と安全設計、安全性の追求」について語り、国基研役員、企画委員らと意見交換した。

宮野教授は、1971年に東芝に入社、一貫して原子力研究開発、設計部での設計、保全業務に従事した。東芝本社の原子力技師長を経て、2010年、法政大学大学院の客員教授に就任した。日本保全学会特別顧問、日本原子力学会標準委員会委員長を務めている。

宮野教授の主な発言内容は次の通り。

原子力発電所の安全を守ることについては「深層防護」という考え方がある。“Defense in Depth”という軍事用語から来ている。原発敷地内での事故マネジメントだけでなく、敷地外の住民の避難から復旧、復興までをトータルに想定している。住民の避難となると、これは政府や地方自治体の仕事となるが、敷地内の原発自体についてのリスク管理は規制委員会の仕事である。リスクをどこまでコントロールしていくか、国民の間とのコンセンサス作りが必要となる。

原発の安全をいかに担保していくのか。大きい地震が来た時には原発をまず「止める・冷やす・閉じ込める」ことをしなければならない。どのような耐震設計をするのか、新しい規制基準が7月から施行された。新基準の一つが津波対策です。そして原子炉建屋は、将来活動する可能性のある断層等の露頭がないことを確認した地盤に設置することに決めている。

規制委員会が基本的に責任を持っているところは原発サイトの中だが、発電所内に自衛隊の支援が必要な場合の仕組みがうまくいっていない。アメリカやフランスは役割分担の仕組みが出来ている。

破砕帯と活断層をどう選り分けるか。それは手のしわを見て、しわか、しわじゃないかと言っているのと同じといえる。「私はこう思う」という世界になっており、あまりにも科学的ではない議論である。

原発建屋は、かなり大きな地震でも問題ないように出来ている。なにか他のものが倒壊して壊れることはあるが、振動だけで壊れることはほとんどない。

原発の立地によって安全対応が違うのは当然である。アメリカでは川のそばのサイトでは防水対策が重要であり、ハリケーンの多いところでは相応の対策を講じている。地震のないところでは地震計さえついていない。静岡県の浜岡原発では海抜30メートルの高台に電源装置やポンプを設置するという対策をとっている。規制委員会は全部一律に安全評価しようとしているが、そんなおかしな話はない。

国の役人は昔も今も、責任は事業者にある、と言う。本来はそうではなく、それぞれの役割というものがある。規制は規制で、安全かどうか判断する役割は規制委員会にある。動かすためにどう安全を守るのかというのが規制委員会の役割で、動かさなくてもいいのなら、誰でも規制委員ができます。止めろ、と言っていればいいのですから。安全というのは動かしながらいかに安全を保つかというのが重要なのです。飛行機もみんなそうなんです。

(文責 国基研)

13.8.2