元台北駐日経済文化代表処代表の許世楷・津田塾大学名誉教授は来日中の12月5日、国家基本問題研究所で、ゲスト・スピーカーとして11月29日に行われた台湾の統一地方選挙結果について語り、同研究所企画委員と意見交換を行った。
許氏はまず6都とも称される、新北、台北、桃園、台中、高雄、台南の市長選について言及、新北の朱立倫氏を除き、国民党が敗退したことを強調。一方で、民進党の躍進で、逆に、2016年の台湾総統選候補が増え、見通しが混沌としてきた、と述べた。
また、6都のうち、首都台北の市長選では、連戦元国民党副総裁の長男連勝文氏が、政治には素人の元医師、柯文哲氏に20万票以上の大差をつけられて敗北、国民党には大きな打撃となった。
民進党の勝利は、大陸との関係を深める馬英九・国民党政権に対する国民の警戒心を反映したもので、今年3月、立法院を占拠、「ひまわり運動」を展開した若者の積極的政治参加も国民党退潮に拍車をかけた、と許氏は分析した。さらに、香港での自由選挙を求めるデモや当局の取締り強化も大陸との関係促進に黄信号を灯した、という。
許氏は、今後の台湾外交は米国、日本に力点を置くのは当然として、とりわけ日本に対して、台湾の帰趨が日本の尖閣諸島や東シナ海の守りに連動していることを訴え、日本側に台湾への関心を強めてもらうことが肝要である、と力説した。(文責・国基研)