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2016.05.13 (金) 印刷する

「習近平のポピュリズム政治と中国の現状」 富坂聰・国基研企画委員

 拓殖大学教授の富坂聰・国家基本問題研究所企画委員は5月13日(金)、同研究所で開かれた企画委員会において、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員に対し、「習近平の中国2016」と題して、最近の中国情勢について語り、その後意見交換した。

16.05.13

富坂企画委員がはじめに指摘したことは、話題のパナマ文書に絡め、中国共産党幹部で腐敗に関与していない人物を探すほうが難しいくらいであり、タックスヘイブン問題が習近平を失脚させるほどの起爆剤にはならないとのこと。

さて中国全体の方向性を見る上で①政治②経済③軍事という各視点で分析すると以下のようになると続けた。

たとえば政治面では、習近平の進める「反腐敗闘争」は超ポピュリズム(大衆迎合主義)の表れであると指摘。その根底には格差と不公平があり、大衆は、不正によって富を得た人物をネットで検索する「人肉検索」をし、その人物を狙い撃ちして個人攻撃をする。その結果「仇富仇官行動」という報復となって表れているとのこと。習近平は、若いとき少年思想犯として紅衛兵によって収監されていることからすると、文革時に似た現在の大衆の勢いを意識せざるを得ないと指摘。それゆえ今後も「反腐敗」路線は継続されるという。

他方、経済面では、過剰生産や不良債権の処理という重荷があることは事実であるが、AI(人工知能)技術などで世界を主導しようとする動きは侮れないと指摘する。さらに軍事面では昨年「全軍大清査」という監察をいれ、大規模な軍改革に結び付けるなど、着実かつ大胆に改革を進め、特に軍区を整理して海空重視の路線を明確に打ち出した。

(文責 国基研)