ベン・アミー・シロニー ヘブライ大学名誉教授は、5月27日、国家基本問題研究所において、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員らに対し「日本・イスラエルの交流と中東の現状」について述べ、その後意見交換した。
シロニー教授は1937年ポーランド生まれで、ナチの迫害を逃れてソ連に移住、難民生活を経て1948年にイスラエルへ。ヘブライ大学を卒業後、国際基督教大学、プリンストン大学に留学、ヘブライ大学で東アジア学科教授となり、毎年400名を超える学生に日本の歴史と文化の講義を続け、現在はヘブライ大学名誉教授として両国関係発展のために尽力。またシロニー教授は長年の功績がたたえられ2000年に勲2等瑞宝章を授与されてもいる。
日本とイスラエルの関係は1952年に始まるが、イスラエル独立戦争の直後の時期、周囲は全て敵国という環境の中、アジアに活路を見出したという。中国は共産主義、インドは回教徒が多い中、日本は自由な民主主義国として価値観を共にでき、また大戦中にはドイツの同盟国であってもユダヤ人を救った歴史があり、日本との交流にそもそも障害はなく、順調に発展。現在でも、東アジア情勢で日中間、日韓間が緊張しても日本を支持する姿勢に変わりはないと説く。
意見交換の場で、イスラエルの敵はどこかとの問いに対し、一番近い敵がヒズボラ、遠くて大きい敵がイラン、ISも射程ではあるが基本的にアラブ内の問題との認識を示した。
最後に、日本がイスラエルに対してできることは何かとの問いに対し、中近東の経済発展のための協力ができること、ならびにイスラエルとアラブの仲介役ができると述べた。
(文責 国基研)