ロマノ・ヴルピッタ・京都産業大学名誉教授は8月26日、国家基本問題研究所企画委員会において、『ヨーロッパの危機』と題して語り、櫻井よしこ国基研理事長をはじめ企画委員らと意見交換をした。
教授は1939年ローマ生まれ。ローマ大学法学部卒業後、東京大学文学部の研究生として来日。1964年、イタリア外務省に入省、駐日ヨーロッパ共同体代表部次席代表などを経て、1978年に退職、京都産業大学で比較文化論、ヨーロッパ企業論等を講義し、2009年に定年退職、現在は京都産業大学名誉教授。
教授は、冒頭、ヨーロッパはローマ帝国末期を思わせる深刻な危機に直面しているという。社会が衰退し、異民族が流入し、おまけに経済も停滞。欧米中心の時代は閉幕し新しい世界秩序が形成されつつあり、これは画期的な歴史の節目であると説く。
この新たな時代では、中国が復権し、イスラム世界が動揺し、民族が移動するという現象などが顕在化してくる。そして、欧州連合(EU)の危機も深刻であり、BREXITをはじめ、各国間の経済格差、移民問題などが契機となり急速な右傾化をもたらしているとする。
仮に現在のヨーロッパにおいて、グローバル化を排し民族国家の再統合という機運がさらに高まれば、ある意味ファシズムなどの流れが再現されることもありうると警鐘をならした。
(文責 国基研)