先崎彰容・日本大学教授は8月5日、国家基本問題研究所企画委員会の招きに応じ、『「政治の季節」はあったのか-知識人の「言葉」から考える-』と題して語り、櫻井よしこ国基研理事長をはじめ企画委員らと意見を交換した。
教授は1975年生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業、東北大学文学研究科日本思想史博士課程を修了。現在、日本大学危機管理学部教授。専門は、近代日本思想史、日本倫理思想史である。
教授は、まず現代の知識人の在り方を問うとき、福澤諭吉の『民情一新』を例にすることができるとし、その結果、知識人とは学問と体験を通して時代を診る医者なのであり、冷静な警告(=処方箋)を出す人であると指摘した。また次に「反××」といった国会前のデモなどをみると、震災パニックに通じるところがあるとし、60年代の安保闘争などを論じた高坂正堯や江藤淳の著作などを通すことで、昨今の知識人の「言葉」の粗雑さに違和感を表明した。
最後に、江藤淳の勝海舟像に触れつつ、秩序を構築しつづける政治家の姿こそ、文学で描かれるべき人物であり、ナショナリズムを政治・文学両面からこれからも探求したいと抱負を述べた。
(文責 国基研)