原子力安全研究協会の矢川元基・会長をはじめ、協会の主要メンバーが7月22日、国家基本問題研究所を来訪し、定例の企画委員会で、原子力開発体制と「もんじゅ」の改革について語り、企画委員らと意見を交換した。
原子力安全研究協会は、昭和39年に設立した原子力の安全性などについて研究する公益財団法人である。
まず、協会メンバーが主張するのは、昨年11月に原子力規制委員会が文部科学省に対し「もんじゅ」について勧告したことを受け、このままではわが国の核燃料サイクルの長期計画に深刻な影響が及ぶことが懸念されるという。したがって、このような事態にいたった原因を究明し、早急に抜本的な対策を講じることが必要であるとのこと。
いくつかの問題点のうち、技術的なものとして、ナトリウム漏洩事故、ビデオ隠し問題、アスファルト施設の火災爆発事故、燃料取扱機の落下事故等、肝心なタイミングでの事故発生および、事故後の処理の不手際が続き、社会的不安を引き起こしたと指摘。さらに地元との関係構築が図れず、長期にわたる裁判対応も余儀なくされたとのこと。次に原子力行政の縦割りの弊害及び原子力政策を主導する原子力委員会の影響力減少についても指摘。
これら度重なる問題等を克服するため、新たな組織づくりをすべきで、今後は、国益という観点から縦割りを全廃して総理大臣をトップとする国の機関を作り、原子力の平和利用を推進するため、核燃料サイクルを完遂させなければならないと訴えた。また地に落ちた「もんじゅ」に対する国民の信頼を取り戻すための広報体制を強化すべきとも主張した。
最後に、わが国のエネルギー問題を考えたとき、化石燃料のほとんどを海外からの輸入に頼り、自給率は再生可能エネルギーを含めてもわずか4~6%に過ぎないという現実を、国民は直視しなければならないと警鐘を鳴らした。
(文責 国基研)