中国駐在を終えて帰国したばかりの産経新聞編集委員・矢板記者は、1月20日、国家基本問題研究所の企画委員会にて、駐在中に経験した様々な事例を踏まえ、中国での取材活動の厳しさなどを語るとともに、中国内政の現状を踏まえ、米中関係、日中関係などについて企画委員らと意見を交換した。
矢板氏は、1972年中国天津市生まれ。残留孤児2世として1988年15歳のときに帰国、1997年慶応大学文学部卒、松下政経塾、中国社会科学院大学院を経て2002年産経新聞入社。2007年4月から2016年11月まで中国総局記者として中国に駐在したのち現職。
最初に氏は、中国国内の新聞報道の特徴の一つとして、自国と他国の指導者を写真で出すとき、少しでも自国の指導者が大きく見えるような見せ方をすることなど、報道姿勢の一旦が伺える事例を紹介した。続いて、2017年の中国の先行きについて、経済のバブル崩壊の懸念、秋の党大会人事の行方、米中・日中関係など注目すべき点がいくつかあるとした。
具体的には、まず経済の話として、輸出、外国からの投資、公共事業及び個人消費いずれも停滞すると予想し、中国の経済成長目標にしても政府発表の数字は信用しない方がいいとも。次に、秋の党大会では最高指導部7人のうち5人が引退すると同時に、政治局25人のうち習近平派が過半数をとるかが注目されるとのこと。さらに米中関係は、トランプ政権に対する期待と誤算があったことや、台湾、南シナ海といった問題が緊張を高めると予想。
最後に日中関係は、李克強首相の訪日が実現するか、日中国交正常化45周年の記念行事が行われるか、尖閣周辺に漁船を出すのか、日本人スパイ裁判の行方など、様々な注目点をあげた。
(文責 国基研)