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2017.07.25 (火) 印刷する

「中国の拡散ネットワークが北朝鮮、パキスタン、イランの核ミサイル大国化を助長」 R.フィッシャー

 7月25日(火)リチャード・フィッシャー米国国際評価戦略センター主任研究員は、国家基本問題研究所企画委員会において、中国をはじめ北朝鮮などの弾道ミサイル開発の実態を紹介し、髙池副理事長をはじめ企画委員らと意見交換をした。

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氏の来所は昨年10月以来で、現在米国の国際評価戦略センターを拠点に安全保障の専門家として緻密な研究および活発な言論活動を行い、Jane’s Defense Weeklyなどで指摘する軍事情報には定評がある。

氏はまず、中国を中心としたネットワークにより、最新のミサイル技術が北朝鮮やパキスタンなどに拡散する実態について、軍事パレードなどの画像資料をもとに解説した。とくに、TEL(弾道ミサイル輸送起立発射機)の技術は特殊なものだが、北朝鮮やパキスタンにおいて、中国製の車両が使用されているという。TELがなければ地上から発射されるミサイルの脆弱性が高まることから、大変重要な技術であるにも拘わらず、米政権はこの事実を軽視してきたと指摘した。

次にミサイル技術の他の重要なエレメントである弾頭であるが、中国がパキスタンに技術を伝えたとされる多弾頭化したミサイルABABEELは、北朝鮮の火星14号に似ており、北朝鮮ミサイルの弾頭が多弾頭化されている可能性を示唆した。多弾頭化されたミサイルは、迎撃する側からすると大変やっかいな存在で、今後さらに注視すべきという。

また、北朝鮮をはじめ、パキスタンやイランなどミサイル技術の開発が自国の安全保障を確実にすると考える国々と中国との技術的連携は、一帯一路を推し進めたい中国の思惑とも合致することから、必然的に進展すると警鐘を鳴らした。

(文責 国基研)