国基研の理事でもある東海大学海洋学部の山田吉彦教授は、8月25日(金)、定例の企画委員会で、「日本海における北朝鮮と中国の違法操業問題」と題し、最近急激に増えてきた日本海大和堆付近の違法操業の実態を報告し、企画委員らと意見交換をした。
山田教授は、まず、日本海のわが国排他的経済水域(EEZ)内の大和堆付近で北朝鮮と中国の違法操業が最近特に活発化している実態を報告。本年6月には述べ900隻、7月には700隻の北朝鮮漁船を水産庁が退去させたという。また、約1000隻の中国漁船が日本海で操業しているという韓国の報道もあるとのこと。
その中国漁船の場合、中国の漁業会社が北朝鮮海域での漁業権を取得、それにより好漁場の大和堆まで進出するのだという。この漁業権、3か月間一隻あたり約200万円で取引されるとも。これが外貨として北朝鮮に渡れば、相当な金額の安保理決議制裁逃れが実施されていることにならないかと疑問を呈した。
さて、去る7月7日には、違法操業の取り締まりに出ていた水産庁漁業取締船が北朝鮮籍と見られる船から銃口を向けられるという事案があった。これに対し、政府は北京の大使館を通じ抗議するほかに有効な手立てがないと指摘。
最後に山田教授は、水産庁や海保の現有能力では日本海の漁業取締りに十分な対応ができないため、海域の警備という観点から自衛隊の兵力も総動員して対応すべきと訴えた。
(文責 国基研)