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2017.08.25 (金) 印刷する

「地方経済と金融」 内野逸勢・大和総研主席研究員

 内野逸勢・大和総研主席研究員は、8月25日、国家基本問題研究所の定例の企画委員会におけるゲストスピーカーとして、「地方経済と金融~地方創生における地域金融の役割再考~」と題して、わが国の地方経済の現状と今後の見通しなどについて語り、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員と意見交換した。

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内野氏は、1990年大和総研に入社、大蔵省・財政金融研究所出向などを経て、現在金融調査部担当部長。

氏はまず、地方創生の考え方と政府の取り組みを説明。地方における域内GDPは人口と一人当たりの付加価値額により決まるが、地方の労働人口が減少している現状から、域内GDPを増加させ、地方創生にリンクさせるには一人当たりの付加価値額の増加が必要であるという。つまり労働生産性を上げるため、高付加価値製品の製造、業務効率化をはじめ、労働生産性の低いサービス産業をシェアリングエコノミーなどにより改善するというもの。

次に、地域金融機関の地方経済に果たす役割を説明。地方経済活性化は、域内で資金を循環させる役割を地域金融機関が担うべきという。ただし、安直に貨幣供給量を増やしても財やサービスがそれに見合うほど増加しないため工夫が必要とのこと。

例えば、氏は鹿児島での好例として、アグリクラスター構想を取り上げる。農林水産の分野において、地元の産業分析をベースにターゲット分野を選定して、サプライチェーンを把握し、地方銀行が的確な資金提供を行い地場産業の活性化につなげたもの。このように、地方における自治体の政策、地域金融機関および産業の最適化が地方経済の活性化に貢献するという。

最後に、クラウドファンディングを例に、域内の資金を域内の運用先につなげる役割を担うことが期待できるシステム、つまりインターネットを通じて少額資金と資金ニーズとをマッチングさせることなどが、今後地方経済を活性化する一つの方策ではないかと述べた。

(文責 国基研)