李度珩氏は、9月22日、国家基本問題研究所の定例の企画委員会におけるゲストスピーカーとして、「消滅しつつある韓国」と題して、韓国の国内事情などについて語り、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員らと意見交換した。
李度珩氏は1933年ソウル市生まれ。建国大学卒業後、64年朝鮮日報入社、東京特派員、論説委員を歴任。75年~76年に慶応大学に留学し92年に退社。前『韓国論壇』社長で、現在は『現象と真相』という月刊誌の発行人。新刊『韓国は消滅への道にある』(17年、草思社)など著書多数。
氏はまず、現在の韓国内で何が起こっているかについて一言で表現、「完全に朝鮮労働党に支配されている」のだという。実質的に朝鮮労働党の影響下にある全国民主労働組合総連盟(民主労総)や全国言論労働組合連盟などが、韓国マスコミ界に影響力を発揮している現状がある。その例として、韓国のテレビは北朝鮮の宣伝番組を垂れ流し、若者は危機感を一切持たなくなっているとのこと。さらに朴前大統領の退陣を要求した光化門前広場のデモは大々的に報じられる一方、反対派のデモはほとんど報じられることはなかった。
他方、韓国司法制度への北朝鮮による影響も無視できないという。かつて金日成時代の70~80年代、韓国司法試験のための考試院(予備校)に対し北朝鮮が金銭的に支援してきた結果、韓国法曹界には多数の親北勢力が浸透しているとのこと。このことは、最近の裁判所が法理を無視したかのような判決を出すことからも言えるのではないかという。
最後に、氏は韓国の諺を紹介。「いとこが土地を買うと腹が痛い(사촌이 땅을 사면 배가 아프다)」との俗諺で、つまり韓国人は一般的に周囲の人の成果を妬むという習性があるそうである。そこに共産主義者は目を付け、非論理的な感情論に火をつける戦術を展開している。例えば、朴前大統領とサムスン財閥との贈収賄事件にしても、まずマスコミが妬み心を持つ大衆心理を煽り、その後司法が追随するという図式を指摘。そのことにもっと注意の目を向けるべきだとした。
氏は、近著でも指摘している通り、このままでは大韓民国という民主主義国が消滅してしまうのではないかとの危機感を抱いているという。
(文責・国基研)