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2018.01.23 (火) 印刷する

「ロシアの北朝鮮政策-核兵器・ミサイル開発を中心に-」 元杏林大学教授 斎藤元秀

 ロシア外交に詳しい斎藤元秀氏は、1月5日、国家基本問題研究所にて本年最初の企画委員会ゲストスピーカーとして、ロシアの北朝鮮政策の現状と展望を語った。
 氏は、1948年生まれの北海道函館市出身。慶応大学博士課程修了後、フルブライト全額給費奨学生としてコロンビア大学院に留学し、Ph.D.を取得。杏林大学総合政策学部教授、北海道大学スラブ研究センター客員教授などを歴.任。現在、日本国際フォーラム参与や中央大学政策文化総合研究所客員研究員として活躍されている。
 以下、要旨を記すと、プーチン大統領によれば、ロシアの朝鮮半島政策の目標は朝鮮半島の安定・平和・繁栄である。加えて、米国一極体制の牽制を主眼としつつも、中国主導で北朝鮮の核・ミサイル開発問題がハンドリングされるのにも不快感を持っている。
 北朝鮮の大陸間弾道弾(ICBM)開発では、ロシアはウクライナルートからの技術の流出を主張し、『ニューヨークークタイムズ』紙もそうした解釈をしている。斎藤氏は昨年12月、ウクライナで国際会議に出席したが、ウクライナはロシアルートからの流出を力説しており、情報戦が展開中で、真相はやぶの中だと指摘した。
 金正恩委員長は、北朝鮮は大陸間弾道弾の開発を完成させたと豪語している。だが、大気圏再突入技術が未完成で、北朝鮮は実戦配備の段階に至っていないとロシアはみている。
 次に北朝鮮の核開発について説明すると、ソ連崩壊後ロシア政府が関与しないところでロシアの核科学者が北朝鮮に流れて開発に協力した。中国の外交官によれば、興味深いことに、金正日総書記は核兵器の開発にあまり力を入れなかったとされる。しかし、息子の金正恩委員長は、核兵器の開発に相当努力しており、ロシアの予測よりも速いペースで開発が推進されている。注目すべきは、昨年9月、プーチン大統領が北朝鮮は安全を確保するため、草の根を食べても核開発をすると発言したことである。中露は朝鮮半島の非核化を求めながらも、近年北朝鮮の核開発を容認しているようだ。
 ロシアは国際社会が北朝鮮に厳しい経済制裁を科すことに反対している。その理由は北朝鮮を窮地に追い込むことは危険と判断しているためである。斎藤氏によれば、朝鮮半島で武力紛争が発生した場合、ロシアによる軍事介入という可能性は低い。露朝間には軍事同盟が存在していないし、極東ロシア軍の兵力は強くはない。
 北朝鮮の核・ミサイル開発問題の解決の出口は見えないが、核兵器や弾道ミサイルの開発凍結を条件に米朝間で交渉が行われるシナリオも考えられ、今後の展開を注視すべきだと述べて話を締めくくった。(文責・国基研)

2018.01.05