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2018.10.09 (火) 印刷する

「自力更生」を強調する北朝鮮内部文書入手 西岡力(国家基本問題研究所企画委員)

本研究所の朝鮮半島問題研究会では、北朝鮮最新情勢についての情報収集と分析を続けている。その一環として研究会座長の西岡力・企画委員が最近、北朝鮮内部資料「自力更生、自給自足のスローガンを高く掲げ進んでいくことについて」を入手したのでここに公開する。

これを見ると、金正恩政権が今年4月以降、経済再建を最重要課題として掲げながら、そのために投じる資金や資材がないため、工場や農場などの生産単位は中央からの支援を期待せず「自力更生、自給自足」の精神で生産を正常化せよという無理な要求をしている状況がよく分かる。一部でささやかれていた中国や韓国からの大規模な支援は行われておらず、昨年から続いている国際社会の厳しい経済制裁は効果を上げつつあることがわかる。

同資料は今年9月に朝鮮労働党出版社が党員と労働者・農民らへの政治学習講演会のために作成した「学習提綱」で、「9月下旬から1時間講義せよ」という指令が目次の下に記されている。

ここでは「表紙」および「目次」と、結論にあたる冒頭部分の「解説」を翻訳した。

20181005120341_000011 1頁 表紙
学習提綱
(党員及び勤労者)
 
自力更生、自給自足のスローガンを高く掲げ進んでいくことについて
 
朝鮮労働党出版社
主体107(2018).9.
20181005120341_000021 2頁 目次
1. 自分の力が第一であり自分の精神が第一であるという確固たる観点を持たねばならない(3)
2. 大衆的技術革新運動を力強く展開し生産正常化の鐘の音を高く響かせねばならない(8)
3. 内部予備と潜在力を残すことなく動員利用せねばならない(13)
 
学習期日
何時間:9月下旬、講義1時間
農業部門党員及び勤労学習班では10月上旬に講義1時間しなければならない。9月下旬には部門別学習提綱『今年の農業収穫を責任的にすることについて』に対する講義を1時間しなければならない。
学習方法:自分の単位で成し遂げられている成果と経験、表れている偏向と原因、克服方途と密接に結びつけて内実のあるように行わなければならない。
20181005120341_000031 3頁 本文冒頭
[解説]
 今、全国のすべての人民は党中央委員会4月全員会議の精神を高く受け止め社会主義経済建設のための総進軍に一糸不乱で立ち上がった。
 我々が、党が提示した新しい戦略的路線を貫徹しようとすれば、自力更生、自給自足のスローガンを高く掲げて行かなければならない。
 今日の革命的総攻勢、経済建設大進軍は自力更生の大進軍であり、党の新しい戦略路線に貫かれている根本的、基本原則も他でもない自力更生だ。
 すべての党員と勤労者たちは自力更生で勝利の栄光だけを獲得してきた偉大な伝統を受け継ぎ自力更生、自給自足のスローガンをより高く掲げ生産と建設で大革新を絶え間なく成し遂げていくことによって主体朝鮮の剛勇な気概を再び、全世界に力強く示さなければならない。