公益財団法人 国家基本問題研究所
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2010.01.29 (金) 印刷する

国基研代表 団訪韓の詳報

国基研代表団は2009年12月20~23日、ソウルを訪問し、北朝鮮有事における日韓協力の可能性について韓国の安全保障問題専門家と意見を交換するとともに、脱北者とも会い、最近の北朝鮮情勢について話を聞きました。訪韓には櫻井理事長、田久保副理事長、小倉理事、西岡、島田、冨山各企画委員が参加しました。詳報は以下の通りです。

12月20日 脱北者との懇談
キム・ウンホ(男)(08年12月脱北、09年7月29日韓国入り。学校卒業後、咸鏡北道の鉱山で働いていた)
キム・リョンヒ(女)(04年2月脱北。学校卒業後、清津の会社で経理を担当していた)
チョ・ソンエ(女)(07年11月脱北、08年4月韓国入り。ヘリョンで芸術部門の仕事をしていた)
コ・ヘイソク(女)(07年7月脱北、8月韓国入り。08年も国基研訪韓団と会見)

国基研 金正日の健康状態は?
A 金正日の私生活は秘密なので、保衛部のさじ加減で住民の間にうわさが流れるが、正確ではない。09年4月に会った軍関係者の脱北女性は「脳溢血の発作は4月までに3回。あと2-3年しか生きられないだろう」と言っていた。
09年9月9日の建国式典に金正日が欠席したことについて、住民の間では「脳溢血のため」と「前日、主席壇で爆弾が発見されて行事が縮小されたため」の2説が流れた。後者の説は北朝鮮北部にも広がっている。
(韓国筋の解説:健康不安説が広がらないように、保衛部が後者の説を意図的に流しているのではないか)

国基研 家族は北朝鮮に?
A はい。電話で連絡できる。自宅が中朝国境に近いので、中国の携帯が通じる。
B はい。離婚して、一人で来た。携帯で連絡は付く。国境地帯まで来てもらって、ブローカーにカネを払えばよい。
A カネも中国経由で送っている。携帯はブローカーに借りる時もあるし、家族が持っている時もある。
C 自宅は豆満江から徒歩3分だが、最近は川岸に近づくことすら許されない。国境警備兵が厳しく取り締まっている。12月初めの貨幣改革の後、脱北者は射殺してもよいことになった。特別通行証は訪問相手の証明がないと発行されない。証明があっても申請は8割が却下される。
A 旅行証明書は社会安全部(警察)で発行されるが、(結婚式を理由に申請しても、本当に結婚式があるのか)厳しく調べられる。
複数 今は国境警備兵に使うわいろを払えない者は脱北できない。「渡航費」は5年ほど前に一人200元(中国人民元)だったのが、今では2000~3000元。一家族だと1万元要求される。

国基研 家族は収容所に入れられていないか。
A 脱北者の中には、家族が収容所に入れられた者もいる。
D 私が北朝鮮にいたころは、(韓国に亡命した北朝鮮の元労働党書記)黄長燁の家族以外に収容所に入れられた例はなかった。
A 保衛部にいた者が脱北した時、家族と弟の家族が収容所に入れられた。
C 一緒に脱北した女性の弟が収容所に入れられた。
A 携帯の取り締まりも厳しくなってきた。

国基研 北朝鮮は変な国だと思う人は住民に増えているか。
A 住民だけでなく、高位層にもそう思う人が増えている。38度線付近では韓国のテレビが見られる。毎日見ているのでニュースが分かる。中朝国境では韓国のテレビドラマのCDが入ってくるので、北朝鮮はダメな国と分かる。

国基研 テレビは自由に見られるのか。
A チャンネルやリモコンは固定されているが、市場には(操作できる)リモコンが売っており、周波数を微調整すると見られる。ときどき(党や警察が)検査に来るが、その時は隠す。
C 中朝国境では朝鮮族のテレビが見られる。韓国のドラマが流れてくる。
C 韓国の製品(服やテレビ)にあこがれていた。日本製はもっと良いが。
D 平壌では韓国製の方がはやっていた。

国基研 軍人は住民の苦労を知っていると思うが、それでも金正日に忠誠を尽くすのか。
A 忠誠心は落ちてきたが、命令が出れば執行する。
D 1997~2005年に軍の監察医の部署で働いていたが、忠誠心は落ちていなかった。金剛山の工事現場でも金正日への忠誠心はあった。私も韓国に入ってから1年間、金正日が悪いと分からなかった。
A 90年代の「苦難の行軍」(大飢饉)を入隊前に体験している軍人は、金正日のせいと分かっている。

国基研 軍が反乱する可能性は。
A 反乱は不可能。
B 99年に軍保衛総局(憲兵隊)で反乱未遂があった。除隊して飢饉を知り、仲間を20人集めて反乱軍を組織しようとしたが発覚。首謀者は公開処刑にされ、5人は収容所送り、残りは有期刑となった。
C 15歳だった93年に、男子たちが誓約の血書をしたためる出来事があり、「成分」(身分)を落とされた。3人以上集まると反乱の企てとされる。
A 私の故郷でも同じようなことがあり、高校生が公開銃殺になった。親睦のための集まりでも許されない。こういう事例は全国的にたくさんある。

国基研 韓国から流す「自由北朝鮮放送」の効果は。
C あると思う。01年に初めて南のラジオ放送を聴き、北の政治犯の実態を知って驚いた。

国基研 李明博韓国大統領への要望は。
C 金大中、盧武鉉の支援は金正日を延命させた。支援すれば南北統一は遠のく。李大統領には支援してほしくない。地方の住民はなんとか食べていけるので、食糧支援は不要。

国基研 中国の支援は知っているか。
A はい。中国が対北制裁すれば、金正日体制はすぐに倒れる。

国基研 北朝鮮の住民は中国をどう見ている。
C 経済的には、中国がいないと生きていけない。市場の商品の7~8割は中国製。政治的には、中国は二股をかけている。脱北者を受け入れながら、北朝鮮に送還している。だから嫌いだ。脱北者はほぼ全員嫌っている。

国基研 金正日体制が倒れた時、中国軍の入国と韓国による統一のどちらを望むか。
A もちろん韓国。金正日は中国に白頭山を半分売り渡したと住民は(不満を)言っている。

国基研 日本人拉致を知っていたか。
A 小泉首相の訪朝前、北朝鮮の報道機関は「ありもしない拉致をでっち上げ」と言っていた。訪朝後、拉致を認めたことが外部のラジオから口コミで広がり、金正日への信頼度が落ちた。
C 帰国した元在日はひどい目に遭った。故郷には「成分」の悪い元在日が10世帯住んでいた。「苦難の行軍」の際、日本からの送金のおかげで元在日の立場が良くなった。

 
12月21日 国防大学安保問題研究所
崔鍾澈(チェ・ジョンチョル)所長
金連洙(キム・ヨンス)北韓問題研究室長
朴チャンピ軍事問題研究室長
孫慶鎬(ソン・キョンホ)軍事戦略学部助教授
ほか3名

会議では最初、国基研側が9月11日の提言について説明し、質疑応答に入った。
国基研 北朝鮮急変事態における中国の出方をどう見るか。
A 急変事態に中国は必ず介入する。可能性は、(1)中国単独の介入(2)中国主導の多国籍軍(3)国連を通じた介入―の三つ。
中国の国益にとっては(1)がベストだが、コストが高い(安定化できるか不明だし、周辺国の反発もある)。コスト面では(3)が一番だが、中国は既得権を放棄しないといけない。そこで、可能性としては(2)が最も高い。その際の条件は、国連の承認を得ることと、中国軍が平壌の安定化作戦を担当することとなろう。
初期段階では単独介入が不可避。国連の多国籍軍承認には時間がかかるので。難民流入などを防ぐため、中国は単独で迅速対応軍を投入するだろう。
次の段階で多国籍軍が結成される。北朝鮮の政権再樹立が目的。中国は親中政権を樹立し、北朝鮮を引き続き影響下に置こうとするだろう。
韓米側の対応については、はっきり言えない。韓国は南北統一を漸進的に進めるのか急激に進めるのか構想を固めて周辺国と協議すべきだ。この点に関する韓米中日の対話はまだない。

B 北朝鮮がどの程度不安定になるかによって中国介入の様相は変わると思うが、国基研提言が指摘するような最も深刻な事態になれば、中国の介入は不可避と思う。
中国は急変事態を管理する準備をかなり進めている。韓米日がしなければならないのは、平時に中国と協議し、何が協力でき何が対立要因かを見極め、対立要因を調整することだ。

 中国は介入するとの見方で大半が一致している。韓米日はこれへの対応が必要だ。中国の戦略目標が、韓国主導の自由統一をどう位置付けるかを考えないといけない。中国の戦略目標は、国力が米国より小さい時と、米国に接近した時と、米国を上回った時で違ってくる。現状では中国の力は米国より小さいので、北朝鮮に対する中国の領土的野心は大きくなく、親中政権の樹立により勢力圏を確保することを目標にするのではないか。中国の力が大きくなれば、属国関係の樹立を目標にする可能性もある。

国基研 金正日が突然死する時以外、中国は食糧・石油支援をやめない。北朝鮮の核保有も仕方ないというのが中国の本音ではないか。北朝鮮への影響力維持が中国の戦略目標だろう。
A 中国外務省当局者は北朝鮮の核保有は防げないと言っており、容認する印象を得た。米国が韓日の頭越しに中国と交渉する可能性はあるだろうか。歴史的に、強大国は弱小国のために戦わず、利益を分け合ってきた。米国が中国と妥協すれば韓国による自由統一はできなくなる。
B 米中の協力が北朝鮮核問題と韓国による自由統一にどう影響するだろうか。これに対して韓日はどう協力できるだろうか。

国基研 朝鮮半島に自由民主主義の統一国家ができれば、中国の一党独裁体制を揺るがすかもしれない。これに失敗すれば、米中逆転のきっかけになりかねない。日韓は反目している場合でない。
 鳩山政権で日米関係が弱まれば、中国の立場は強まる。鳩山政権は米国を米中談合に追いやってしまうのではないか。韓米日の長期的課題は中国を民主化することではないか。

国基研 韓国は急変事態における日本の協力をどう考えるか。
C 韓国民の多くは周辺事態法で自衛隊がどんな役割を果たすかを心配している。

国基研 急変時に自衛隊機による邦人救出にも反対か。
 日本が「普通の国」になるのは当然だ。韓国内なら米韓が邦人を保護できるが、自衛隊機が北朝鮮へ飛ぶことは阻止できないと思う。人道目的の輸送機派遣には反対できない。しかし、自衛隊の上陸なら「国民感情」が出てくるかもしれない。適法な手続きで軍を派遣するのは当たり前のことだが、韓国の国民感情を和らげるため、歴史認識を深めることは大切だ。

国基研 (1)中国はどんな名目で介入すると思うか。(2)韓国はどういう方法で統一を実現したいか。
A (1)北朝鮮が急変事態に際して助けを中国に求める可能性は、韓米に求める可能性より大きい。半島が自由統一されれば、中国は「和平演変」を恐れる。北朝鮮に影響力を保つために、中国は入ってくるしかない。
(2)北朝鮮に後継政権ができ、新政権が改革開放をするなら、韓国は支持する。そこで統一を模索する。逆に、大混乱となれば国際的な軍事介入は不可避となる。目的は事態の安定で、北朝鮮に過渡的政府をつくり、一定期間後に南北を統一する。その際、日本の経済支援、後方支援、難民支援が必要になる。韓日民主化共同体ネットワークをつくることが大切だ。

国基研 自由統一が実現したら、北朝鮮の核はどうするのか。
 簡単に結論は出ない。
B 南北非核化は国際社会への公約だ。統一韓国はそれを守る。心配ない。

 
12月21日 未来韓国財団
許和平(ホ・ファピョン)未来韓国財団理事長

 個人的願いは、韓米日が協力して中国と対抗することだ。韓国の60~70歳代の反日世代は間もなくいなくなる。領土的野心を持つ中国が北朝鮮に手を出すなら、こちらにはカードがある。ウイグル、チベット、台湾問題を使って中国を牽制すべきだ。
韓国内には、米日が半島の現状維持(分断)を望んでいるのではないかとの心配がある。もし米日の戦略が現状維持でも、韓国にはそれを克服する力がある。英仏が反対してもドイツが統一できた先例がある。
韓国内にも、統一を急がなくてもよいとの声もある。しかし、地域の安全保障のためにも、韓米日は一つのチームで進んでいくべきだ。中国が北朝鮮を食い尽くさないよう、韓米日は共同対処しなければならないが、それを可能にするのは自由民主という理念であり、それで行けば道は開ける。
北朝鮮の全体主義体制は崩壊する。軍事的な打倒はできないので、内部崩壊を促さないといけない。核問題より全体主義の問題の方が重要なのに、北朝鮮は核が解決すればすべて解決という状況をつくって成功した。北朝鮮は崩壊する運命にあるのに金大中、盧武鉉が延命させたのは誤りだ。

国基研 (1)統一韓国は核武装するか(2)北朝鮮有事で自衛隊を出すことを韓国は拒否するか。
 (1)統一後、北の核を廃棄しないといけない。日本に持ってほしくないから、韓国も持たない。加えて、核兵器は高価だし、使用が難しい。私は核保有に反対だ。
(2)デリケートな問題だ。韓日は自由民主の価値観を共有しており、合同軍事訓練を含む軍事協力が必要だ。歴史認識については、誠実に解決する努力が必要だ。最終的には自尊心の問題だ。一つ一つ解決していかないといけない。

 
12月21日 朝鮮戦争拉北者家族協議会
金聖浩(キム・ソンホ)名誉理事長

 国基研の提言には「北による北の変革」という視点が欠けている。私は脱北者や北朝鮮内部の活動家と連絡を取っているが、彼らは韓国を含む外国の(支援は望んでも)介入を望んでいない。脱北者や北朝鮮国内の反政府リーダーこそ、改革を主導すべきだ。
国基研 北朝鮮の急変時に脱北者や国内の反政府リーダーに何ができるのか。
 具体的な構想は持ち合わせていない。

 
12月22日 韓国統一研究院
徐載鎮(ソ・ジェジン)韓国統一研究院(KINU)理事長
ジャーナリスト趙甲済氏同席

 徐理事長に国基研の提言を送ったところ、同感する点が多いとのことだった。
 日韓専門家会合で、2010年の日韓併合100年を未来志向で迎えるため、日韓でも米韓のような「共同ビジョン」を出したらどうかと提案したところ、外務省北東アジア課長は肯定的で、学者たちも賛成した。

国基研 韓国の反米運動はどうなったか。
 2002年の女子高生交通事故死が反米のピークだった。中国が研究プロジェクト「東北工程」で高句麗を「(中国の)地方政権」と位置付けたことで、米国より中国が問題なことが韓国民に分かり、反米機運は衰退した。それまでは、米国も韓国について、南北統一後は中国の側につくのではないかと疑っていた。それが、中韓には歴史紛争があり、韓国は簡単には中国につかないことが分かった。08年に米韓関係が改善されたのは、米国の中韓関係を見る目が変わったことも影響した。それで09年6月に共同ビジョンが採択できた。
米国が恐れるのは中国の高度成長だ。日本だけでは中国を牽制できない。日本と統一韓国の「二頭立て」で中国を牽制させることに変わった。鳩山政権が日米関係をきちんと管理しないといけない理由も、そこにある。

国基研 2010年は日韓併合100年より朝鮮戦争開始60年ではないか。後者を取り上げる計画はないのか。
 KINUでは学術セミナーを計画している。
 韓国民の対米好感度は今、七十数%だ。
 盧武鉉時代は50%台だった。米韓共同ビジョンで自由統一への支持が打ち出され、統一で頼りになるのは米国だと分かって好感度が高まったのではないか。
日本が韓国主導の自由統一を官民挙げて正式に支持すれば、日韓の歴史問題は克服できる。日本は(統一問題で)遠慮しないで積極的に発言した方がよい。韓国民は南北分断について、日本の植民地の解体過程で起きたもので、責任の一端は日本にあると思っているから。
また、韓国民は日本が拉致問題に執着して、核問題解決の障害になっていると思っている。少数の拉致より、慰安婦問題の方が重要とも考えている。拉致問題の解決のためにも、統一は早い方がよい。統一すれば核問題も解決する。金正日体制下では、核問題の解決も困難だ。

国基研 拉致問題の解決は、国家が国民の生命を守れることの象徴となる。拉致問題重視は核問題を置き去りにすることにならない。核問題に二次的な関心しかないのではない。
 日本は統一韓国の強大化を恐れていると韓国民は思っている。それが韓日誤解の原因なので、日本政府は(国基研の提言のように)明快に自由統一支持を表明すべきだ。(日韓併合100年の)2010年は良いタイミングだ。これを逃してはならない。
 「平和統一」という用語は分かりにくいので「自由統一」を使うべきだ。韓米日はこの用語を共有できるのではないか。

国基研 北朝鮮の貨幣改革の背景は何か。
 北朝鮮では、社会主義の衰退と逆比例して市場主義が強まってきた。市場を統制し、社会主義経済を回復するため、貨幣改革を断行した。
北朝鮮の住民の大部分は家内手工業に従事している。社会主義経済は全体の10~20%を占めるにすぎない。住民は家内手工業で作った日用品などを市場で売って生活している。政府機関も各自稼がないといけなくなり、独自に貿易を始めた。商売を一番やっているのは軍部で、ワタリガニ漁、マツタケ狩り、金鉱掘りなどの権利を金正日から得た。これが先軍政治だ。人民が皆、商売をするようになったことが貨幣改革の理由となった。
短期的には政権の狙い通り市場統制の効果が出るだろう。しかし、住民は政権に強い不信を抱いた。これが北朝鮮の転機になるかもしれない。

国基研 金正日体制はいつまで持つか。
 09年5月の第2回核実験と貨幣改革が体制崩壊の「雷管を触った」とみている。核実験に対する国連制裁で、北朝鮮の財源は枯渇する。制裁をあと3年続ければ、北朝鮮内部で大きな変化が起きる。
中国が制裁を支持してもしなくても、韓米日の制裁には効果がある。2012年ごろ、北朝鮮は屈服し、核問題を解決できるとみている。金正日体制(の崩壊)と同時に核問題を解決できるとみているが、仮に体制が残っても、核問題は解決できるとみている。
(北朝鮮崩壊に備えた)米韓の「5029」計画では、米軍が北朝鮮に入って核を管理し、韓国軍も(治安回復のため)入ることになっている。米中の戦略対話で米国は5029計画を説明し、中国を説得する作業を行っていると思う。中国軍の介入は米軍との戦闘を覚悟しないといけないので、簡単でない。もっとも、万が一の中国軍の介入に韓米日は備えないといけない。

国基研 中国の介入理由は、(1)北朝鮮の要請(2)人道上の必要(3)中国の国益擁護―など幾つもある。介入しない理由が分からない。
 その見方に同意する。しかし、介入しない要因もある。まず、米国の存在だ。米軍が韓国に駐留しており、介入すれば米軍との対決になる。世界全体で見て、米国との対立は中国にとってプラスだろうか。第二に、金正日と北朝鮮エリート層は、中国を本心では嫌っている。中国の影響力拡大を怖がっている。
 韓国民の反中感情は強いので、中国の介入は仕方ないという世論にはなっていない。黄長燁は、中国は介入しないだろうと予想し、例外的に、(1)中朝国境で米中両軍のにらみ合いが起きる時(2)北朝鮮から「自由の風」が中国に吹き込むのを許せないと判断した時―は介入もあり得ると言っていた。

 
12月22日 国際外交安保フォーラム
①金顯彧(キム・ヒョンウク)理事長
②朴肯植(パク・クンシク)科学文化研究院院長
③金裕赫(キム・ユヒョク)檀国大学終身名誉教授
④柳基南(ユ・キナム)自由市民連帯代表会長
⑤朴チョン
⑥金泰宇(キム・テウ)韓国国防研究院(KIDA)責任研究委員
⑦金錫友(キム・ソクウ)国家発展研究院(NDI)院長(元統一省次官)
⑧朴ソンブ
⑨李チュンアン
⑩金テサン(脱北者)
⑪韓昇助(ハン・ソンジョ)高麗大学名誉教授
ほか
計約25名

金顯彧 韓国左派政権の10年間、自由民主主義が貶められ、何とかしなければとの思いで、有志が朝食会を開き、北朝鮮核問題、韓米関係、日本、中国、ロシアなどの諸問題を勉強してきた。本日は、金正日体制が終焉に近づく中で、韓日は何ができるかを取り上げたい。
櫻井 北朝鮮問題は日韓が20世紀の軋轢を乗り越える良いチャンスだ。日韓は自由民主、人権擁護など基本的価値観で一致しているはずなのに、これまで肝心な時に足並みがそろわなかった。日本の希望は韓国が未来の国として確立されることであり、そのためできる限り努力して韓国民の信頼を勝ち得たい。それは日本国民が自信を持つことにつながり、アジアの平和に貢献する。

(西岡が国基研提言を説明)
金錫友 提言に感銘を受け、励まされた。北朝鮮の急変事態を「若干の」と「中間的な」と「重大な」の三段階に分類し、段階ごとに韓国の目標を設定することを提案したい。「若干の急変事態」とは、金正日は死んだものの、政権のコントロールがまだ効いている段階で、韓国の目標は北朝鮮社会の迅速な安定となる。「中間的な急変事態」は政権のコントロールが効かず、難民や餓死者が出る段階で、韓国は実用主義的政府の樹立を目標とすべきだ。「重大な急変事態」とは政府と軍が崩壊する段階で、韓国の目標は自由統一となる。

A 北朝鮮の急変事態に中国は介入するだろうか。もし韓国軍が単独で入るなら、中国を入れないと宣言することは可能だ。韓米連合軍が入るなら、中国軍も呼び込む可能性が大きい。したがって、韓国軍が単独で事態を収拾できる力をつけないといけないのだが、韓国内での議論は広がっていない。自由統一はよいが、その先にアジアのどんな未来を描くべきか。韓米日が同盟を維持し、中国とバランスをとることが必要だ。

B 韓国による自由統一を支持する研究所が日本にあるのはうれしい。急変事態は待っていても来ないので、急変事態にどう誘導するかを議論すべきだ。また、急変事態の類型別に対処法を考えないといけない。自動的に韓米軍が入るのではない。

C 金正日が死んでも、息子が後継者になれば、国をある程度引っ張っていくと思う。息子が今のような政策をとれないように、対北放送やビラまきなどを通じて、金正日の死後、北朝鮮住民に支援を与えることを知らせないといけない。日本政府は元在日を対象に放送を始めたらどうか。
北朝鮮は主権国家であり、韓国軍を含め外国軍が北朝鮮に入る大義名分はない。北朝鮮の一派が韓国軍に介入を要請すれば、他の派は中国に要請し、中韓両軍に葛藤が起きる。だから、韓国軍は介入に慎重でないといけない。韓国軍が要請なしに入れば、北朝鮮側は侵略と考える。北朝鮮住民は中国軍の介入も韓米軍の介入も望まない。

D セミナーで中国人学者に、急変時に中国は何をするか尋ねたところ、「急変事態は起きない。考える必要はない」との答えが返ってきた。これは、準備はもう終わっているという自信の表れではないか。北朝鮮は自分たちのものと中国は考えている。中国の関心は、南をどうやって影響下に置くか、にある。北のことは心配していない。中国に対して圧力をかけないと6者協議は結果が出ない。
金錫友:韓国が責任をとることを明確に表明すべきだ。自由統一の覚悟を表明すれば、各国はついてくる。

E ドイツ統一が実現したのは、西の豊かさにあこがれる東の住民と、それを受け入れる西の当局者がいたからだ。毎月300人の脱北者が出ているのは、北にいかに変化が起きているかの表れだ。

田久保 北朝鮮に中国の影は深く差している。ソフトランディングをするにしても、中国は北朝鮮に強い影響を残す。中国は北朝鮮を手放すはずがない。急変時に日本ができることは、財政支援と自衛隊を動かすことだ。自衛隊は旧軍のように大陸で暴れない。自衛隊が助けると、日韓に新しい関係が開ける。

 
12月22日 NK知識人連帯(大卒以上の脱北者組織)
金興光(キム・フングァン)代表(2004年韓国に。コンピューター分野の元大学教授)
郭ミョンイル(2007年11月に舟で直接亡命。元社会安全部勤務)
李セイユル(2008年韓国に。元大学教授)
李ジミョン(2004年韓国に。元作家同盟所属の作家)

金代表 会員は248人。元の職業は教授、技術者、作家、芸術家、記者、放送人、医者など。組織の目的は(1)韓国などに北の真実を伝える(2)北の知識人の意識を改革する(3)統一後の図を描く―こと。韓国統一部の委託で北の動向分析報告書の作成も行う。

(北朝鮮貨幣改革について)
B 目標は社会主義への回帰。支持者は庶民層と高職層で、住民の60%を占める。不満者は市場商人。
庶民層(国営企業従業員の場合、収入の80%は給与、20%は市場での販売で)は、100分の1のデノミなのに給与を改革前と同額(つまり100倍)もらえたから改革を支持。高職層(職場の管理者)は、これまで市場商人に頭が上がらなかった(職員が市場に物を売りに行くため欠勤するのを拒否できなかった)ため、改革を支持。
市場商人のうち、高利貸しは没落した。物を持っていた者は助かった。
食料を市場で売らせず、それまでの市場価格(35ウォン/kg)により国家販売所で売るようになった。これとは別に、国営企業従業員は固定価格(17ウォン/kg)で安く買える。つまり食料の二重価格制が始まった。
金代表 北朝鮮は2012年の強盛大国実現へ向けて、国際関係(対米、6者協議)では核放棄のふりをする。それは、放棄の見返りが大きいから。しかし、地上の古い施設を解体するだけで、地下の新施設は温存する。北朝鮮は改革開放でなく、計画経済に戻りたいと考えている。(だから貨幣改革をした。)

国基研 貨幣改革は必ず失敗する。
金代表 金正日が健在な限り、失敗しても成功したように見せる。

国基研 社会不安の要因にならないか。
金代表 「明日の(生活の)問題」を解決すれば、不満は出ない。貨幣改革後、食料の配給は10回あり、企業給与は100倍になった。カネさえあれば、米は何キロでも買える。
A 「苦難の行軍」の時代も、カネがあれば買えた。
金代表 カネを持っていれば飢え死にしない。分配に問題があるから餓死する。
B 貨幣改革の財源は金正日の自分のカネだとみている。金正日のカネは、1年はもつと思う。

国基研 住民は立ち上がらないか。
金代表 現状では難しい。外から啓蒙しないといけない。

国基研 急変時に韓米軍が入った方がよいか、北の住民が独自に対処する方がよいか。
金代表 韓米の支持の下で北を変え、ある程度変わったところで統一するのがよい。

 
12月23日 研究者との対談
権泰栄(グォン・テヨン)韓国戦略問題研究所責任研究委員
全星勲(チョン・ソンフン)KINU責任研究委員
宋和燮(ソン・ファソプ)KIDA安保戦略研究センター研究委員

(国基研側が提言内容を説明)
 国基研の提言は、私たちが望む日本の政策方向そのものだ。以前、私たちは、周辺国は半島分断を望んでいるのでは、と思っていた。ドイツ統一の英仏が反対したように。歴史問題もあって、日本は「近くて遠い国」だが、今後は「近くて近い国」になるのでは、という気がしてきた。
A 日本の政治家の中で、このような提案はどんな位置を占めるか。
櫻井 ここまで深く考えている人は少ない。(1)再侵略の意図を疑われるのを嫌う(2)自衛隊への制限があるので、日本はほとんど何もできないという思いがある―ためだ。しかし、自民党にも民主党にも、このままではだめだと考える人は多い。集団的自衛権の行使で韓国を間接的に助けることもできる。国基研は議員との勉強会を続ける。韓国を助けないといけない、という方向へ持っていきたい。
島田 小泉首相訪朝時の平壌宣言は北朝鮮を承認し、金正日政権の存続を認める内容だったが、この宣言を支持する議員が多い。しかし、拉致議連に所属する議員なら、国基研提言に賛成するのではないか。
B 民主党政権の立場はどうか。
櫻井 民主党は左右の幅が広い。鳩山首相にはしっかりした考えがない。小沢幹事長の考えは分からない。恐らく党として整理されていないのではないか。

(C氏の発表「北朝鮮急変事態の際の韓日協力について」)
C 急変事態は一種の戦争状態であり、韓民族の犠牲の最小化のため日本にも協力してほしい。自由民主こそ北住民の生活を保障する唯一の道だ。米日中ロの協力を引き出しながら韓国主導で統一を進めるべきだ。
金正日死亡時に急変事態が起きる可能性は大きい。その際、後継者問題、核管理の問題、軍の統制の問題が生ずる。
特定国による一方的介入、米中の北分割、北の体制存続、南北連邦制のいずれも、韓国にとり好ましくない。それを避けるため、周辺国の利害調整へ事前協議が必要だ。
韓日協力を探る上で、戦略対話がなによりも必要だ。互いの利害を考えないと対立が起きる。
中国の一方的軍事介入への対策も必要だ。中国は北朝鮮が米国の対中封じ込めの基地となることを懸念している。「東北工程」は介入の大義名分づくりのためであり、難民保護も介入の口実になり得る。
国連を通じることなく特定国が早い段階で介入することは避けられない。北進する韓米軍と、越境する中国軍がそれぞれ平壌占領を試みる可能性がある。
日本の役割はまず、韓国軍による北朝鮮占領を支持し、中国軍の撤退を要求することだ。自衛隊の派兵を示唆して中国軍の撤退を誘導するのも手だ。また、米中の密約を防ぐことも日本の役割だ。米国は北朝鮮の核廃棄の見返りに従中政権樹立を容認する可能性があり、そうした密約は韓日の利益に反すると明確に表明すべきだ。北朝鮮の核兵器の管理に韓日が参加することもあり得る。韓日国内の妨害勢力の排除でも、協力できる。
 韓国内には、北朝鮮の特性から急変事態は起きないとの見方もある。体制を軍部が引き継ぎ、動揺しないというのだ。また、住民の反乱はないとの見方が依然有力だ。しかし、金正日の健康悪化に伴い、急変事態が起きるとの見方も増えてきた。貨幣改革に市場勢力は反発しているので、下からの抵抗もあり得るのではないか。
田久保 中国ファクターは重要だ。中国は北朝鮮支援をやめないだろう。自由統一になれば中国へのインパクトは甚大で、影響は台湾、チベット、ウイグルに及ぶ。中国の共産党独裁が揺らぐ可能性もある。米国の動向がカギを握るが、オバマ政権は人権問題で中国への遠慮が目立つのが気にかかる。一方で、北朝鮮への影響力をめぐり米中対立が起きる可能性もある。日韓など民主主義国家の団結が不可欠だ。中国の対北侵略を許せないと何度も言うべきだ。日本ができることは、経済援助と自衛隊の活動だ。その意味で、C氏の提案は日韓の新時代を開くかもしれない。
冨山 自衛隊の派兵を示唆するC氏の提案が韓国内で受け入れられる可能性はあるか。
C 急変事態が起きれば、韓国は中国による北朝鮮の支配が嫌なので、最終的には受け入れると思う。
 中国軍介入の兆候が出てきた時に、アドバルーンとして派兵の可能性に言及するのが好ましいと思う。北朝鮮を安定化できるのは韓国軍だけだからだ。中国軍に介入の口実を与えないように、米軍は大量破壊兵器対策のみに従事し、平定は韓国軍が単独で行うのが望ましい。

(A氏の発表「核問題での韓日協力」)
A 6者協議で金正日政権に核を放棄させることは不可能。6者協議の6年間で核問題は悪化し、協議は米朝合意の追認機関になり下がった。中国の狙いは核の放棄でなく現状維持。核をめぐる中朝関係は米印関係に似ている。中国は北の核を認めて米国と韓米同盟、日米同盟を牽制しようとしている。対北制裁で北朝鮮の中国依存度が強まり、中国の対北影響力が強まるのは、中国にとって悪いことではない。以上の理由から、中国は6者協議での核放棄に積極的でない。
北朝鮮の核に対抗して、日本にも韓国にも核武装論がある。しかし、私の理解では、両国政府と大部分の国民は核武装を国益に合わないと考えている。核問題での韓日協力へ向けて、政府関係者と民間専門家による「トラック1.5」の戦略対話が必要だ。

(同「急変事態・統一問題での韓日協力」)
A 日本政府は韓国主導の統一こそ日本の国益に合致すると宣言すべきだ。従中政権の樹立は韓米日の利益に反するし、米国が金正日政権を承認しないよう韓日協力が必要だ。
急変事態における韓日協力は必要だが、韓国民の感情を考えるなら、日本は目に見えない形で静かに助けてくれるのが好ましい。そうすれば、いずれ韓国民の対日感情は変化するだろう。
韓国は日本人拉致被害者の救出に最大の誠意を見せないといけない。日本が直接介入するのは好ましくない。韓国軍を信じて任せてくれることが大切だ。
どの国が統一を支持したかで、統一韓国の最大の友好国が決まる。統一は韓日協力の新たな地平を開く契機となる。

(B氏の発表「韓日安保協力」)
B 韓日安保協力への疑問が従来あった。(1)自衛隊に対する韓国民の感情(2)韓米同盟で十分なのでは、という思い(3)中国を刺激する警戒感―のためだ。しかし、2、3年前から、日本と安保協力し、信頼を醸成しようとの議論が出てきた。
有事における協力で残る問題は、米中協力の時代に、中国を敵に回す感のある国基研提案を米国が受け入れるかどうかだ。韓日が「韓国主導による統一」を精錬された形で米国に提案できれば望ましい。
 米中が北の核について(廃棄でなく)不拡散で手を打つという最悪の事態を防ぐためのカードは、日本と韓国の核武装だ。韓日政府は実際に核武装するつもりはないが、アドバルーンとして民間の研究機関や言論人がときどきそのような声を出すことは大切だ。北が核のミサイル弾頭化に必要な技術を入手するのは時間の問題であり、時間との闘いの中で、韓日がどう戦略を立てるかだ。
急変事態に関し、核心は中国の介入問題であり、従中政権誕生の可能性だ。心配するシナリオは、後継体制が弱い中で急変事態が起き、北朝鮮の軍部が親中政権をつくることだ。その場合、中国は分断の固定化を図るだろう。後継者支持派と不支持派の対立、開放派と非開放派の対立、権力内部の対立、権力と住民の対立などさまざまなシナリオがある。そこで、韓日協力を話し合うのが戦略対話だ。公式の戦略対話が難しいなら、民間レベルで目標の設定や方策の設定をすればよい。
櫻井 韓国との冷静な議論の中で日本の核武装を議論しないといけない。日韓民間戦略対話が必要だ。
田久保 ネバー・セイ・ネバー(核を持たないとは決して言わないこと)だ。

 
12月23日 韓国国会議員との会見
李春植(イ・チュンシク)国会議員(ハンナラ党、李明博大統領の側近)

 金日成・正日父子政権を早く倒して北朝鮮住民を解放しないといけない。北朝鮮は核を韓日に向けるという困った状態にある。核問題の当事者は、北朝鮮のミサイルが届かない米国でなく、韓日だと李大統領には言ってある。李大統領が提案する「グランドバーゲン」の大前提は北朝鮮が核を放棄することだ。
北朝鮮は李大統領との首脳会談を提案してきた。核廃棄が議題なら応じるが、北朝鮮は「核は米国と話し合うから、南北首脳会談の議題は経済支援問題」と言うので、こちらは断った。米国を説得できるのは韓国より日本だ。核が解決しないと他の問題も進まない。
ドイツ統一は東の住民が西に押し寄せて実現した。新聞によると、中国東北3省には脱北者が30万人いる。脱北者が政治難民と認定されれば韓国へ行けるのに、中国はそれをせず北へ送還している。脱北者は難民に当たらないか検討するよう韓国国連代表部に依頼している。難民認定されれば脱北者はもっと増え、状況は大きく変化する。国際世論で中国に圧力をかける必要がある。

国基研 国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)は中国の非協力を国際司法裁判所に提訴せず怠慢だという理由で、韓米日は一致してUNHCRへの拠出金を拒否すればよい。韓米日の拠出金がないとUNHCRは運営できない。
 よい指摘だ。日本でも世論をつくってほしい。韓国にも親北勢力がいて、北朝鮮当局を刺激すると砲撃してくるなどと言う。しかし、李政権はそれを「杞憂」として、強い姿勢を取っている。難民認定へ全力を挙げるつもりだ。

国基研 李議員には、日韓議員レベルの戦略対話に尽力してほしい。
 急変事態を起こすには努力が必要だ。中国が北朝鮮を手放したくないのは、北朝鮮が民主化してその風が中国に吹き込むのを嫌うためだ。中国は領土的野心があるというより、北朝鮮を緩衝地帯にしようとしているとの見方もある。中国が北朝鮮を手放さざるを得ない状況を韓日がつくらないといけない。

国基研 韓国には中国に介入するなと言う権利はあるか。
 韓国憲法には半島全体が韓国の領土と書いてある。しかし、韓国の支配が北に及んでいない現実も認めないといけない。

国基研 沖縄基地問題で日本に言いたいことはあるか。
 普天間の移転先がグアムではだめだ。朝鮮有事の際に、対応に時間がかかる。日本の新政権と関係を構築しないといけない時に、韓国が正面から(鳩山政権に)反対することは重荷だ。6カ月間は言いたいことも自制する。ハンナラ党内では議論してきたが、政府からは、意見表明を少し待つようにと言われた。

(作成者:主任研究員 冨山泰)