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2019.06.07 (金) 印刷する

「ウクライナの教訓と日本の危機」 グレンコ・アンドリー氏

 日本で活動しているロシア問題の専門家、グレンコ・アンドリー氏(ウクライナ出身)は、6月7日、定例の企画委員会にゲスト・スピーカーとして来所した。
 アンドリー氏は、ロシアが2014年にウクライナを侵略した経験から得た教訓をもとに、ロシアという国の本性や、我が国の対露警戒心の薄さなどについて語り、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員らと意見交換をした。

 まず氏が指摘するのは、5年前のウクライナと今の日本の共通点である。

  • 平和ボケ国民の国防、安全保障、軍隊に対する無関心
  • 歴史認識で外国からの無理強い、外国への過剰な配慮
  • 共産党など左派勢力の活動と左派思考の浸透
  • 政府機関、官公庁、メディア、学会に蔓延る自虐意識
  • 異民族の定着と我が物顔の勝手な振る舞い

 その結果、ウクライナは2014年、ロシアの侵略により、クリミア半島を略奪され、現在進行形で紛争が継続することに。同じような状況にある日本が、ウクライナのようになる可能性は十分あると注意を促した。
 ただし、ウクライナと日本では同盟関係が違うとも。日本には米国という日米安保条約上の強力な同盟国がある。この状況は、バルト3国がNATOという集団安全保障体制のメンバーであることから、ロシアの脅威から逃れていることと符合する。反面、ウクライナとジョージアはNATO加盟国でないことから、ロシアによる簒奪の餌食になった。日米安保体制が極めて重要な理由がそこにある。
 そもそも、ロシアを信用することは絶対してはならないという。ロシアは1992年にジョージアを侵略し、約2万人という犠牲者を出し、同年第1次チェチェン戦争、2000年に第2次チェチェン戦争、2008年に第2次ジョージア戦争を経て、2014年にウクライナを侵略した。ウクライナは、国連に救済を求めたが、国連はロシアを非難しただけで、実力をもってクリミアを奪還できない。ロシアがP5である限り、国連に期待することはできないし、ロシアに国際法を遵守するという意識もないという。
 そのことから言える教訓は、自分自身を守る術は己の実力と知恵だということ。それに加え、自主独立の気概を失うことが最も恐ろしいとも。幼い時から繰り返し教育されると、立ち上がることさえできなくなる。そんな平和ボケを享受している日本が、ウクライナの轍を踏まないためには、相当気を引き締めなくてはならない、と警鐘を鳴らした。

 グレンコ・アンドリー氏は、1987年、ウクライナ・キエフ生まれ。2010年から1年間、早稲田大学に語学留学。2012年、キエフ国立大学日本語専攻卒業。2013年、京都大学留学。2019年、京都大学大学院人間環境学研究科博士課程修了後、評論活動。著書に、『プーチン幻想 「ロシアの正体」と日本の危機』(2019.3.29 PHP新書)がある。(文責 国基研)

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