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2019.05.31 (金) 印刷する

「5G問題とサプライチェーンリスク」 伊東寛・ファイアアイ最高技術責任者

 サイバーセキュリティの専門家で、国基研の客員研究員でもある伊東寛氏は、5月31日、定例の企画委員会にゲスト・スピーカーとして来所、世界で問題化している5Gとサプライチェーンリスクについて語り、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員らと意見交換をした。
 氏によると、一般的に5Gというのは5th Generationのことで、第5世代の無線通信技術を意味する。例えば、4Gの代表格・携帯電話と比較すると、5Gは、通信速度で10倍になる。つまり、2時間の映画を数秒でダウンロードできる速度。しかも遠隔医療が可能なほどレスポンスが速くなる。
 ただし、現状では課題も多い。
 具体的には、多数の基地局の整備が必要になる。5Gの電波は高い周波数を使用する。すると、電波の到達距離が短くなることに加え、ビルなどの障害物を回り込みづらくなるので、より多くの基地局が必要になるという。また、まだ新しい技術を普及させる緒に就いたばかりであり、規格の統一に至っていない。つまり、市場を先に開拓して、普及させた製品が、事実上、世界的な規格になるという。さらに、基本技術の特許の多くを中国が取得しており、他の国は後塵を拝しているのが現状だと指摘する。
 国策として5Gを推進する中国に対し、日本の企業は市場原理に期待するばかりで、次の世代を見据えた危機意識が欠如している。米国はようやく政府主導でファーウェイ外しを行うが、問題はファーウェイやZTEに限らないと指摘する。日本政府やメディアもようやく関心を示し始めたサプライチェーンリスクだが、IT製品の製造工程や供給ルートなどのサプライチェーンには、悪意あるチップやマルウェアが組み込まれるリスクが常に存在する。
 したがって政府のみならず企業においても、サプライチェーンリスクを十分に認識し、適時適切に対応する管理能力を強化する必要があるとしている。さらに、個人レベルでは、偽メールなどに限らず、利用する端末が勝手に作動していないか注意を払うことも、自己防衛という観点で大切だと指摘した。
 伊東寛氏は、元陸上自衛隊システム防護隊初代隊長という経歴を持ち、サイバーセキュリティに関し多数の著作がある。 (文責 国基研)

19.05.31