韓国の弁護士である金基洙(キム・ギス)氏は、10月4日、定例の企画委員会におけるゲストスピーカーとして来所し、韓国の国内事情について「集団記憶を強要する『徴用労務者』銅像と全体主義への序曲」と題して語り(通訳:西岡企画委員)、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員らと意見交換した。
まず氏が語ったのは、韓国では、過去を政治的に解釈して記憶を作り上げるということを、国家的に実行してきた事実についてである。
金大中政権以降、数多くの過去史関連法が成立、政府の過去史委員会が活動してきた。その目的は、「あるがまままの過去史の復元」ではなく、「あらねばならない当為としての過去史の復元」である。これは、法に基づいた行為であるから、一般国民の記憶の中にある歴史的事実と相反しても、修正することが出来ないという。
さて、2018年10月30日の韓国大法院(最高裁)で、いわゆる「徴用工」裁判の判決があった。司法であっても、「積弊清算」という政治の意思に反することができなかった。これにより、韓国が法的安定性や財産権が保証される国家でないという認識が国際的に拡散されたことを大変憂慮している。
そのような政治的状況にあるからこそ、自由の大切さと民主主義の価値を切実に感じることができるという。金氏は、これからも志を有する多くの国民とともに、自由を守る隊列に加わり、積極的に活動していきたいと語り、日本の人たちからの一層の支援に期待を寄せた。
金基洙氏は1966年韓国大邱市生まれ。1989年、高麗大学法学科卒、1997年、司法試験合格の弁護士。「慰安婦像と戦時労働者像設置に反対する会」共同代表を務める。(文責・国基研)