金聖玟・自由北韓放送代表は、1月24日、定例の企画委員会におけるゲストスピーカーとして、北朝鮮の最新情勢について語り、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員らと意見交換した。
金氏は北朝鮮から韓国へ渡った後、ラジオという媒体を通じて、北朝鮮に真実を伝えるための放送局を運営している。
まず、氏は昨年末に開かれた朝鮮労働党中央委員会総会において、金正恩党委員長の発言に触れた。特筆すべきは、正面突破戦の方針である。その方針では、自力更生が基本となっており、すなわち中央は援助しないということを意味している。現在、北朝鮮は西側の経済制裁により外貨が枯渇しつつある状況だが、それを人民は自分たちの力で突破せよ、稼ぎなさいというわけだという。
外貨獲得の手段として注目されるのは、中国人観光客の存在だ。中国から北朝鮮に観光客を送り込む事業は、習近平氏が約束したことだが、これが経済制裁の抜け道として利用されている。そこに韓国も気が付き、観光事業を推進しようとしている。ただし、中国で新型肺炎ウイルスが流行し、観光事業への向かい風となる懸念もある。
さて、実際の市民生活では一体どのようなことが起こっているのか。経済に活気がないばかりでなく、実は、賄賂、詐欺、薬物、売春などが横行しており、エリート集団とされる人民軍の中においても例外ではないと聞いているという。
このように、乱れた社会秩序の中、不満が鬱積しているはずの人民が、未だ自ら蜂起しないのは、自由な世界を経験したことのない無知と、とめどなく繰り返される暴力により、人民の心が支配されているからだと指摘した。
氏は最後に、経済制裁が効果を発揮しつつある中、韓国が揺らいでいる実態を憂うるとともに、今後の3カ国の協調体制の再構築が、より一層重要だと訴えた。(文責 国基研)