2月9日(水)、国家基本問題研究所は、定例の月例研究会を東京・内幸町のイイノホールで開催。中国武漢発のコロナ感染症の影響下、対策を施しながらではあるが有観客の会は2年半ぶりであった。
今回のテーマは「安倍元首相に聞く ― 日本の行方」、盛大な拍手に迎えられ、安倍晋三元首相が登壇、冒頭約40分にわたり講演した。
【講話概要】
第1次安倍政権が平成18年に発足し、その1年後に国基研が誕生したことを紹介。政権が立ち向かう相手の一つは台頭する中国の問題で、向かう先は国基研と違いはなかったという。
その後、安倍政権だからこそ達成できたこととして、平和安全法制を取り上げた。この法整備により、日米同盟が以前に比して大きく変わったと感じた。つまり、米海軍艦艇を防護可能となったことで、日米演習の幅も回数も大きく増加。トランプ大統領との信頼関係も後押しして、これまでになく強固な日米同盟が維持されている。
第2次安倍政権では、国家安全保障会議NSCを作った。これまでわが国には、外国政府と直接協議できる危機管理上のカウンターパートがなかったのである。このよう状況では話にならない。そういう意味でNSC創設は大変重要な意義があった。これから年末に向け国防を左右する重要な文書である、安保戦略、大綱、中期防が改訂される。つまりわが国安全保障にとって、ある意味正念場を迎えるとも言える。
今後わが国は、経済の活性化で得る強い経済力を背景に、自国の防衛力を強化した上でより強固な日米同盟を築きあげ、抑止力とすることが肝要である。
【質疑応答】
その後の質疑応答で、現政権の評価を聞かれ、バイデン大統領との良好な関係構築や佐渡金山推薦の決断という成果をあげ、期待を寄せた。
また、ウクライナ問題への対応については、まずG7が足並みを揃える必要があるが、欧州も決して一枚岩ではないとの指摘もなされた。
さらに、歴史戦への対応について聞かれると、一般的に歴史戦に関して保守派というのは少数派だという現実を認めつつ、歴史的事実は国内外に発信し続けていく必要があるという。
台湾有事はわが国有事という前提に立ち、今必要な戦力は何かとの問いには、まず自分の国は自分で守るという観点で、適度な射程を持つミサイルは必要だとした。
詳細は後日、「国基研だより」や国基研ホームページで紹介します。ご期待ください。
(文責 国基研)